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建築ライブラリー第18巻
《復元思想の社会史》
著:鈴木博之
発行:建築資料研究社
定価:2,625円(本体2,500円+税5%)
237p21cm
4-87460-911-2
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あらゆる「復元」は、その時代の要請に従って行われてきた。近世から近代へ、歴史のなかで生み出されつづける「復元」の諸相。変化する社会、歴史観と建築の「復元」との関係を読み解く。 |
<目次>
はじめに
1 模造と再生
1 うつし−模造の江戸
・江戸の三十三間堂・栄螺堂 札所写 つくりもの・「うつし」という方法・「うつし」から「復元」 へ
2 茶室の写し
・大崎園 ・写し・独楽庵・為楽庵・甦る不昧
3 能舞台と由緒−能舞台は移し写される
・国家の能楽堂・華族の能舞台・能楽師の能舞台・宮中の能舞台・写しの能舞台.近世の復元能舞台
4 「模型的」建築
・建築の模型、模型の建築・模型製作の動機・見せるものとしての模型・博覧会と建築模型・復元模型の登場・建築される模型
5 神明造という神話
・近代神社建築史のなかの神明造・伊勢神宮における式年造替・「唯一神明造」・「熱田神宮改造一件」・伊勢を追い求める熱田・神明造という神話
6 式年造替−その開始・持続・終焉
・スクラップ&ビルドは日本の伝統か・式年造替というシステム・開始=発明・持続・終蔦・建築のライフサイクルと式年造替
2 復古と復元
1 王権の復古意識−寝殿造の近世・近代
・王権と伝統・復古内裏・「公武」折衷・戦時下の寝殿造
2 王朝復古のモニュメント−近代天皇陵のデザイン
・古墳に眠る明治天皇・上円下方のデザイン・再生する古墳−孝明天皇陵−・明治国家の二極構造・擬態の古墳
3 平安神宮−模造と復元のはぎまで
・祝祭の空間・模造大極殿・学術的復元の実際・まぼろしの平城神宮・意識化される復元・模造と復元のはぎまで
4 天守の復元とその周辺−大阪と東京
・天守の建設・大阪城の天守・豊公館・名古屋城の天守・旧江戸城の櫓門・宮城の凱旋門・むすび
5 復元にかける橋
・文化財としての橋・木橋の復元・石橋の復元・鉄橋の復元・コンクリート橋の復元・
橋の保存をめぐる状況・親柱の保存・復元にかける橋
6 黄金金閣−炎上から再建へ
・舞鶴から金閣へ ・金閣放火事件・二つの小説『金閣寺』『金閣炎上』・金閣再建・場所の記憶
7 史跡名勝常磐公園(偕楽園)の復元−庭園復元はあり得るのか
・偕楽園から常磐公園へ ・史跡名勝常磐公園の復元・名勝庭園の復元は、あり得るのか ・おわりに
8 方法としての復元−観光都市の町づくり
・「創り出される」歴史・平戸オランダ商館・長崎出島・北九州門司・方法としての復元
3 破壊と継承
1 江戸城から皇城へ−建築の破壊と継承
・東京駅から皇居を眺める・写された江戸城・江戸城の幕末維新・破壊と継承・残された櫓
2 もう一つの古社寺保存−観光都市「古都」の成立
・原点としての古社寺保存・拝観に押し寄せる人々 ・荒廃から復興へ ・拝観というシステム
・参詣のネットワーク・観光資源としての古社寺・保存という名所整備
3 解体修理−螺旋状の周期性
・解体修理という手法 ・明治修理 ・近世以前の解体修理 ・解体修理と螺旋状の周期性
4 宗教建築の破壊と創造−大本教の弾圧をめぐって
・日本近代の宗教弾圧・第一次大本事件による模倣の禁止・第二次大本事件による無への
復元・記憶の空間へ
5 近代建築の破却と保存の論理
・都市の近代化遺産をめぐつて・文化施設と保存運動−記憶の共有・歴史遺産の政治性・ 経済の論理
・都市における文化遺産の継承 ・保存のための、業務床のボーナスを
あとがき |
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