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《木造住宅設計教本》
著:吉田桂二
発行:彰国社
定価:2,520円(本体2,400円+税5%)
B5・136P
4-395-00731-7
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著者の長年にわたる住宅設計活動の経験から得られた,木造住宅の設計手法が盛り込まれた本である。日本の家の特質は,自然の中に住むことを基本としてその形を決めたものであるが,最近それが憂慮すべき状況にある。今,改めて環境保全の時代に応えるために,環境共棲の考え方を木造住宅の設計において実践する。それは,まず普段からのあらゆる条件でのデザインシミュレーションを繰り返し,自分の考えを構築することである。そのための設計ポイントを,著者の実例をもとに具体的に解説している。生活するとはどういうことか,それを組み入れる設計とはどういうことかが納得できる教本である。 |
<目次>
第1章 総説
第2章 家の形(空間性/架構性/可変性)
第3章 家の内容(自然性/生活性/環境性)
第4章 棲居の再生
第5章 チェックポイント |
「あとがき」より抜粋─
建築の設計というものは,論理よりも形をつくるほうが先行すると思ってよい。つくられた形が論理を生むのである。とは言うものの,論理を軽視するのは間違っている。つくられた形の正当性を人にわからせるためには,論理を欠くことはできない。結果として,この本の構成は図の多いものになった。写真も多少入っているが,圧倒的多数は手描きの図である。図に示されたものが形であり,形を伝達するためには,手描きが最も有力な手段だと考えている。論理は文章で述べるよりない。論理の内容には抽象的なものから,具象的なものまであるが,おおむね各章の冒頭には,最も普遍性の高い内容から入ることにして,具体的な形が提示されていくに従って順次,技術的な内容に踏み込んでいき,微細な部分にまで及ぶ構成にした。図はちらちら眺めるだけで,文章だけを読み進めても,設計技術は向上しないと思う。文章を読みつつ,図はそれ以上の時間をかけて,穴があくほど眺め続けてほしい。できれば,紙と鉛筆を持って図を描いてみながら読み進んでくれたら,設計技術の向上は確実だ。
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