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造景双書
《「場所」の復権》
-都市と建築への視座-
編著:平良敬一
発行:建築資料研究社
定価:2,940円(本体2,800円+税5%)
4-87460-878-7
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同時代を切り拓いてきた、わが国を代表する建築家たち。オリジナルな視点で第一級の成果をもたらした、研究者や評論家たち。批判精神あふれる彼等から、都市と建築の諸問題に対する様々な観点を引き出し、未来への希望の在処を探る。巻末論考では、都市と建築に通底する重要なキーワードとして「場所」を掲げ、この概念の復権を訴える。都市と建築の将来を考えるうえで、必ず参照されるべき一冊。 |
<目次>
第1部 建築家との対話
第1章 小さくて柔らかい都市づくりの手法へ 磯崎新
「大きい計画」 「小さい計画」
部分を攻める戦略
街区構成法の無理
住専問題の遠因・持家政策
マスター・アーキテクト制の提案
アートポリスの実験
公共住宅の設計の新風
ヨーロッパはシティ・アーキテクト
首都移転論へのスタンス
皇居移転も視野のなかに
スーパーシステムとしての都市
第2章 建築がつくる「情景」 横文彦
「動く」建築
人は動きながら 「認知」する
「y=f(x)」の豊かな建築とは?
閉ざされた歴史から開放され、「場所性」の再構築を
「点」としての建築の可能性
建築がつくり出す原風景
第3章 都市に新しい 「場」をつくる 原広司
京都駅ビルを「つくる」こと、それ自体が「都市」だった
和解の道筋としての「谷」と将来につながる「マトリックス」
京都的であり、日本的、アジア的、そして世界的であること
市民と通じ合うための新しい「建築の言語」が必要
あらゆる人に同等の権利がある「場所論」とは?
都市の中の「みんな」とは誰をさすのか?
第4章 記憶の風景をつくる仕事 安藤忠雄
建築をつくり続けるエネルギーの素は?
ひょうごグリーンネットワーク
土採跡地を国際公園都市に変える
「きれいな景観」ではなく「心に残る景観」を
人間に都合のいい自然はない
イタリアで経験した「建築」への愛情
風景をつくる仕事
共有される 「安藤精神」
第5章 まちづくりと建築家芸人論 吉田桂二
古河を「北の鎌倉」に
集合体をつくる
まちづくりをうまく進めるためには
建築家「芸人論」の真意とは?
まちづくりで建築家ができること
設計事務所もNPOで
第6章 「せんだいメディアテーク」の試み 伊東豊雄
「これは都市の広場だ」
「うまく使ってもらえそうだ」という感触
マニュアル化された公共建築から抜け出すためには?
公共建築は議論しながらつくりたい
第7章 建築の<素形>を求めて 内藤廣
<素形>は自然の近くにいる
自然の「技術」と人間の「技術」が重なるところ
時間の流れに乗る「笹舟」のような建築をつくる
時間のスパンを延ばして考えてみる
建築は小乗仏教、土木は大乗仏教?
第2部 歴史と批評
第8章 民家研究から町並み保存へ 大河直躬
民家との出会い
民家研究と町並み保存運動
景観条例誕生の社会的背景
都市計画の弱点
保存と開発
実践の時代
必要な情報のネットワーク
近代建築の歴史的な評価
都市環境的な評価の必要性
第9章 歴史的環境への視点 伊藤鄭爾
近代のアポリア
都市の現場
国家の要請
集落の景観が崩れた
残る建築の条件
東大寺という現象
「現代の重源」よ、出でよ
第10章 「平等」を買って「自由」を売った戦後日本 川添登
日本ではなぜ、民間学が必要とされたか
疎外され続けてきた都市民
「市民の共有財産」という発想の欠如
民家復元は伝統の破壊
社会的寿命のある「施設」と普遍的な「建築」の違い
「都市」は人間性を守るための重要な装置
まちづくりは、まず、市民社会づくりから
市民サービスは市民の手で
第11章 共有空間の「種」 鈴木博之
「戦前文化」が支えた小川治兵衛の庭
「文化」は個人からスタートする
「共有される空間」を生み出す「種」とは
「公共性」を支える土壌
ストック型の都市とは
第12章 都市経営の戦略 陣内秀信
「人が住む街」を目指したイタリアの都市再生
「盛り場」は外国語に翻訳不可能
人の生き方、企業の生き方、そして「都市の生き方」がある
行政は地域主義のサポートを
日本の都市の良い点、損な点
第13章 二十一世紀の「ガーデン・シティ」長谷川堯
モダニズムはデザインの最終結論ではない
分散型都市を提案するハワードの「中世主義」
ブレーキとアクセルを交互に踏み込む
日本に「二十一世紀のガーデン・シティ」をつくりたい
都市における建築の役割
第3部 建築から都市へ
第14章 木造の復権と持続する都市づくり 内田祥哉
木造フォラム誕生までの切迫した背景
鉄筋コンクリート造は木造より簡単?
これからの木構造は筋骨隆々とした折衷主義で
「建築の地域性」は本末転倒
近未来型集合住宅「NEXT21」で試みたことの意味
長持ちする学校建築とは?
職人大学の実現
持続する都市と「オープンハウジング」
魅力的な街並み形成に不可欠な住民参加
住民参加は計画コンペ方式で
第15章 都市の「精神」 大谷幸夫
地方都市に馴染まなかったモダニズムの建築美
未来都市像と団地への反発が生んだ麹町計画
沖縄への鎮魂歌
「都市」には歴史的積み重ねが必須
二極分化している現在の建築家像
都市の本質は公正を求める精神
田園都市の復権 あとがきに代えて 平良敬一
「非都市化革命」というイメージ
「豊かさ」の意味が問われる
生活が求める価値は「質」だ
田園都市構想の復権
日本型田園都市論という問題
都市概念の再定義が必要 |
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