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《住み家殺人事件 建築論ノート》
著:松山巌
発行:みすず書房
定価:2,100円(2000円+税5%)
200p22cm
4-622-07089-8
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阪神大震災、9・11以後も新たに林立しつづける超高層。私たちはいま一度、根底的に住むことを問わなければならない。『乱歩と東京』『うわさの遠近法』『群衆』の著者による縦横無尽の建築原論。 |
<目次>
ちいさな緑のお家の中に、ちいさな金色のお家がひとつ。;
「だァれがころした、こまどりのおすを」「そォれはわたしよ」すずめがこういった。;
いきなりばんばら藪へとびこむと、眼玉がポンポンひんむけた。;
ふたりの間中を、ちょとごらん、お皿はすべすべなめてある。;
ねこがもうします。「お天気はどうでしょね」;
ねてもねられずおおよわり、頭の髪毛もめっちゃくちゃ。;
大きな木をきり、大きなその海にどしんとたおしたら、;
おまけに、こっぴどくひっぱたき、ねろちゅば、ねろちゅば、このちびら。;
もそっとおわんがしっかりさえしてりゃ、ここらでこの歌もきれやしまい。;
一切空ちゅうおばあさんがどこかしらにござった。;むしゃむしゃ、がぶがぶ、
ぐずりばば、ぶつぶつぶつぶつまだやめぬ。;
さあきた、手燭がお床へおもあえをてらしにきた。さあきた、首切り役人がおまえ
のそっ首ちょんぎりに。;
石だけぽっつりのォこった。たったひとりのォこった。ファ、ラ、ラ、ラ、ラルド。;
それでも、どの面がいちばんおすきか、やっぱり御本人でおいいやれぬ。;
お釘がへれば、蹄鉄うせる。 |
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