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《修復の理論》
著:チェーザレ・ブランディ
監訳:小佐野重利
訳:池上英洋、大竹秀実
発行:三元社
定価:3,150円(本体3000円+税5%)
22cm266p
4-88303-159-4
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修復家とは、「臨床医のように目はしが利き 外科医のように慎重で腕のたつ」(C.ブランディ)者である。
ブランディにとって、より本来的な意味での修復の目的は作品を原初の様相に戻すことではなく、原初の様相のうちで残っているものやそれが時の経過する中で蒙った変更に最大限の読み取りやすさと享受しやすさを取り戻させることであるから、[……]修復家は、職人でも芸術家でもなく常に歴史分野の専門の助けを仰ぎ指導を受けながら、このように複雑な職務をもっとも適切な形で完遂できるように「手わざの知恵」をそなえた教養ある「技術者」でなくてはならない[……]。 (G.バジーレ、序文より)
本書は修復の科学技術や技法を説くものではない。芸術作品や文化財の保存・修復が実行される以前、あらかじめ省察を必要とする理念を問題とする。わが国でも高松塚古墳、キトラ古墳の保護・継承をめぐり議論が高まる中、参照すべき必携の書である。 |
<目次>
日本語版まえがき
チェーザレ・ブランディについて ジュゼッペ・バジーレ 7
修復の理論 25
1 修復の概念 27
2 芸術作品における物質=@36
3 芸術作品の潜在的な統一性=@44
4 芸術作品と修復に関する時間=@62
5 歴史性の要件からみた修復 76
6 美的な要件からみた修復 92
7 芸術作品における空間=@118
8 予防的な修復 123
補遺 139
1 偽造 141
2 欠損部処置の理論的注解 150
3 モニュメントの修復のための原則 159
4 古代絵画の修復 166
5 パティナ、ワニスおよびヴェラトゥーラに関連する絵画の洗浄 182
6 「ワニスとグレーズに関する事実に基づく考察」 204
(Some factual observations about varnishes and glazes)
7 修復の問題として額縁を取り去るか、それとも保存するか 240
監訳者あとがき 小佐野重利 253 |
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