いえづくりをしながら考えたこと

986号      990号


京都発大龍堂:メール マガジン通巻988号



《いえづくりをしながら考えたこと》

著者:縄文人、菱刈俊作
発行:エクスナレジ
定価:本体1,900円+税
四六判276p
4-7678-0166-4
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本書は、全国屈指のセルフビルダー(これまで3棟を自力建設)である著者が、これまでのいえづくりの経験を通じて得た、「住まい」、「暮し」、「家族」に関する考え方をまとめたものである。
簡潔な本文に加え、メッセージを示唆する意味深なコラージュ作品を多用した、美しい装丁の作品である。メッセージとアートワークを交互に眺めているうちに、「大切なのはHouse(器)でなくHome」だとする著者の思想に深く感化されることだろう。いまさらいうまでもなく、「いえづくり」は人生の一大事業である。したがって、自然と「いえとはなにか」「家族とはなにか」そして「人生とはなにか」を考えてしまうものなのだが、著者の場合、いえづくりのプロセスそのものが通常とは異なっているため、特に深く「考える」ことになった。
著者は完全な独力で自宅・ギャラリーを3棟も建設した、筋金入りのセルフビルダーである。独力である以上、工期は通常の住宅建設の10倍、すなわち数年に及ぶ。工期の長さ、そしてしんどさと楽しさを想像するだけでも、著者がどれだけ「考えた」のか想像できるだろう。
本書で著者は、「大切なのはHouseでなくHome」と説く。すなわち器ではなく、本質的なやすらぎを得られる場所を自分でつくろうというメッセージである。そうした場所を得るには、当然、いえづくりそのものを考えるだけでは不足である。家族と自分、そして社会のなかでの「自分の場所」を獲得しなければならない。著者はこのことをみずからの体験を踏まえて、具体的かつ簡潔な筆致で語る。本文、そして象徴的かつ挑発的な見出し、そして菱刈俊作氏による印象的なアートワークを交互に眺めるうちに、本書が単なる「いえづくり論」「家族論」にとどまらず、「人生の歩き方」の具体的なHOW to本でもあることが分かるだろう。エディトリアルデザインの俊英・美澤修氏による、美しい装丁も一見の価値ありである。[エクスナレジ編集部]
<目次>
はじめに
1、HouseとHome―何のために家を作るのか―
 人々が必要としているのはHomeである。
 Houseはそれを入れるための容器に過ぎない。
2、素材と人材―何を使って家を作るか―
 大昔から先人達は身近にある物を工夫して家を作ってきたが、
 現代に生きる我々に天が与え賜うた素材は『ゴミ』であった。
3、商品と職人―誰が家を作るのか―
 自分で食を得、衣を紡ぎ、住を建てる!
 暮しに必要な全てのことを、自分自身でこなすのが人間本来
 の生活であったはずだ。
4、離職と汎職―ドロップアウトのすすめ―
 当たり前だと思っていた日常に見切をつけよう。
 遮眼帯(競走馬用の眼帯)を取り去れば世界ははるかに広くなる。
5、家作りと巣作り―セルフビルドのすすめ―
 現実的な手段でなければ、現実の殻は破れない。
 組織社会と決別して、自ら安息の地を創り出そうではないか。
6、Art(技術)とArt(芸術)―しなやかに生きるために―
 何者でもない個人が、自ら欲する物を自らの
 手で創り出す。それこそがArtなのだ
<著者プロフィール>
●縄 文人(なわ ふみひと)
本名比賀 健二(ひがけんじ)。1949年生まれ。横浜国立大学心理学科卒、美術科修了。大学に8年間在籍。画廊勤務の後、中学校の美術教師として17年間教鞭をとる。1995〜2001年 山梨県の山奥でセルフビルドによりアート・スペース『PEJJITE』を建設する。現在はギャラリー経営のかたわら、木工製作、映画、写真そして主夫をこなす。山梨県道志村在住。
 
●菱刈 俊作(ひしかり しゅんさく)
1952年生まれ。横浜国立大学美術科卒。1991年にサントリー美術館大賞展、1992年に第1回リビング・アート・コンペ=奨励賞、1994〜99年に今立現代紙展、1995〜96年に現代日本美術展、2000年に第5回昭和シェル現代美術賞展岡本太郎賞・特別賞を受賞。現在は県立高校に勤務しながら精力的な制作活動を続けている。横浜市在住。