第2弾 SQUAttER(スクオッタ)大島哲蔵氏推薦書評

938号      942号


京都発大龍堂:メール マガジン通巻940号

 

第2弾 SQUAttER(スクオッタ)大島哲蔵氏推薦書評
コンパクトなインパクト、スイスのバーゼルを本拠に活動するビルクハウザー社の出版物、
今年に入ってからの新刊で推薦できるタイトル
<10+1のメールマガジンから転載>

★『The Factories:Conversionsfor Urban Culture』(\7400+税)

これはもっぱらモノクロ写真を使って、建築的処理よりもどのような経緯で元工場が文化施設に生まれ変わったのか、その運営はどうなっているのかが解説され、従って日本では余り人気がなかったのだが、重要な論点を提供していることに変わりはない。世界の趨勢はむしろこのような場合でも建築家のイニシャティブを必要としない方向に傾いていることが判明する。そして既にヨーロッパの中小都市では、産業遺跡を改装した文化拠点作り(演劇、コンサート中心)が実績を積み重ねている。

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★『Post-War Modernity in Switzerland』(\6240+税)

第二次世界大戦から70年代初めまでの「谷間の時期」にチューリヒで活躍した4人の建築家を取り上げている。筆者はABC構成主義の「その後」を取材する目的で数年前に当地の建築を見て回った経験があり、その折に本書に紹介されているジャック・シェーダーのフロイデンベルグに建つ州立高校を見学したが、地味ながらも地域の共有財産となる建物で今だに忘れられない。これは広い意味でABCの波及効果の一つで、この時期のモダニズムの更新があってこそ、その後のスイス建築の隆盛が約束されたというわけだ。

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★『A Work for Roche Basel: Architecture by Herzog & de Meuron,
Wall painting by Remy Zaugg』(\5670+税)

ポンピドゥーセンターでの展示計画以来、共働を積み重ねているコンビの最新の成果である。建築共々興味深いが、むしろこのような包括的で徹底した建築とアートの関係構築が可能になったところに驚きを覚える。ロッシュ社の寛容さと余裕に少々あきれてしまうが、厳しい企業世界戦略が背後に存在することも容易に見て取れる。

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★『Jean Prouve Highlights 1917-1944』(\8140+税)

悩ましいタイトルである。この出版は全4巻として刊行中(2巻までが既刊)だが、前半期の作品のハイライトとして再編集された。全集は誰もが好著と認める内容なのだが、少し高価なのと嵩高さに買い控えが目立った。それなら抜粋すれば良いようなものだが、何か本格的に調べたり実際に制作の参考に供する場合には、抜粋では役に立たないことが多い。

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★『Peter Merian Haus Basel』(\6240+税)

個人的に見逃せない。というのも、これは故ドナルド・ジャッドがボリューム分節や表層トーンの決定をアドバイスした「遺作」に当るからで、他にロニ・ホーンやフランソワーズ・モレレなどが各所でアート制作している。個人的には何人かの芸術作家を建築設計に関与させるやり方は好きではないが、スイスの近代的ビルのガランとしたたたずまいを考えると、まだしも表情が出て来るのかなと思う。

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ヨルグ・シュライヒと並んでドイツの構造設計家を代表するヴェルナー・ソベックが設計したエコハウス(シュトゥットガルト)を紹介する
★『R 128 by Werner Sobek』(\4600+税)

誰にも薦められる。この必要にして十分な近代的空間は、エネルギーと空気のコントロールを最小限の環境賦課で実現した、今日的テクノロジーの住宅適用に関する模範と言えよう。設計家なら誰でも挑戦したくなる課題をこれだけ高度のレベルで解いた例は、他にほとんど知らない。

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大手事務所に勤務する設計スタッフがしばしば参照しているのが
★『von Gerkan Margand Partner: Architecture 1999-2000』(\12830+税)

たった3年間で分厚い作品集が出来上がってしまうという、目を見張る勢いで建てまくっている。
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まだこれからの出版になるが
★『Barragan: Space and Shadow,Walls and Colour』(\11840+税)

今年が生誕100周年に当るバラガンに新しい角度からアプローチする内容とのことだが、類書の多い中でどれ位新鮮な論点が提供できるのだろうか?美しいだけの写真の羅列は、もうそろそろ御免こうむりたいものだ。

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それから何と言っても面白そうなのが
★『Re: CP』(\6240+税)

であり、Reとはレシピ、CPとはセドリック・プライスである。
AAスクールから出ていたモノグラフが大分前に売り切れになった現在、彼の真価を知るにはこのタイトルだけが頼りということになる。紹介記事に載っていた彼の言葉を転記しておくが、このような言い方はなかなか出来るものではない。(英国で一般的なハイテク表現に皮 肉を込めて)
「テクノロジーは確かに解答なのだが、それでは設問とは一体何だったのか?」

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