広重の浮世絵風景画と景観デザイン_東海道五十三次と木曾街道六十九次の景観_

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京都発大龍堂:通巻2247号

ほんの半世紀前、まだ京都の都市風景は絵師や文学者たちの対象物となりこころの風景として描かれていた。その風景は四季により変化し人々のこころに癒しと感動を与えた。
例えれば、冬には京町家の屋根に雪が積もり、京三山の稜線とのコントラストは心を和ませてくれた。その風景は今やこころの片隅にしか存在しなく、京都の先人達が育んだ生活文化慣習までも破壊させている。そんな生活環境と商業主義・利己主義的な考えのみで計画され、コミニュケーションが成立しないマンション群は虚しい。そのような情況の中で育つ子供たちは非情に不幸の極みである。当然、人間形成にも支障をきたすのは当然である。
この事態を改善するには、一刻も早い京都の新都市と旧市街分離構想を実践しなければならない。
我々は建築物を設計する時、もう一歩踏み込んだ建築計画を考察しなければならない。
その答えは、もしこの建築物が建ったとき、風土的歴史にマッチした風景となりうるかを……。(yy)

《広重の浮世絵風景画と景観デザイン》
_東海道五十三次と木曾街道六十九次の景観_

著者:萩島哲、坂井猛、鵤心治
発行:九州大学出版会
定価:[本体2,300円+税] 円
26cm112p
4-87378-820-X

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景観デザインは、その都市の脈絡を読み取り、意識的に働きかけることである。広重が描いた「東海道五十三次」と広重と英泉が描いた「木曾街道六十九次」の浮世絵風景画を景観設計の観点から読み解いた結果を書き記す。
<著者紹介>
〈萩島〉1942年福岡県生まれ。
九州大学大学院人間環境学研究院教授。専門は都市計画、景観設計。
<目次>
第1章 序論
第2章 河川景観の構図
第3章 樹木景観の構図
第4章 宿場景観の構図
第5章 視点場と山の仰角
第6章 典型景観と実景
第7章 透視図法を適用した構図
第8章 景観デザインへの教訓