第21話以降のあらすじ   第11話〜20話

第21話 ルキアンの決意

クレドールをはじめとするギルドの3隻の飛空艦と、ナッソス家の飛空艦隊との激戦が続く。レーイらの活躍により敵艦は一隻また一隻と沈黙し、ギルドの艦隊を急襲したナッソス家の飛行型アルマ・ヴィオの群れも、クレヴィスの操る魔法戦特化型アルマ・ヴィオ「デュナ」の驚異的な力によってかろうじて食い止められている。しかし状況は厳しい。なおも戦いを拒むルキアンだが、仲間たちの危機を傍観することに対する苦悩は募るばかりだった。アルフェリオンに乗って戦いを繰り返せばいずれはステリアの力にとらわれ、自分が単なる兵器になってしまうのではないかと、恐れるルキアン。そこで突然、また謎の女の声が語りかけてくる。彼女との対話を経たルキアンは、戦いは嫌だが、戦わぬまま平和や人々の笑顔が壊されてゆくのを見過ごすのはもっと嫌だと、出撃を決意する。
第22話 ミトーニア包囲(前編)
覚悟を決めて出撃したルキアンだが、ステリアの力を使わずに戦うという彼の決断が裏目に出た。アルフェリオンは本来の性能を発揮できぬまま、敵方の飛行型アルマ・ヴィオに簡単に撃墜されてしまった。幸いにも戦況はギルド側の優勢へと傾いていた。レーイとサモンのたった2機のアルマ・ヴィオに追い詰められる自分たちに、敵艦隊の指揮官は焦燥を隠せない。ギルド艦隊に猛追する敵の飛行隊も、クレヴィスの放った多数のネビュラ(人工精霊)によって壮絶な最期を遂げる。そして再チャージを終えたクレドールの方陣収束砲により、勝負は決した。墜落したルキアンは、この地の農園主一家の娘・シャノンに助けられていた。しかし彼女の言葉から、ルキアンは悲痛な現実を思い知らされ、呆然とする。シャノンの父や、あのカセリナ姫と自分は戦わねばならないのだと……。

第23話 ミトーニア包囲(後編)

ギルドの艦隊から降伏勧告を突きつけられたミトーニア市では、市長や参事会員たちが緊急の会合を開いていた。議会と国王に忠誠を誓い、ナッソス家への支援を停止すれば、市の自治権は保障され、市当局の責任も問わないとするギルド側の申し出に、ミトーニアは揺れる。一方、決戦への覚悟を固めるカセリナの前に、精強を誇るナッソス家の「四人衆」が姿を見せる。ギルドと反乱軍が戦いを続ける裏で、「大地の巨人」の覚醒をはかるパラス騎士団。しかし旧世界の姉妹に対する非道な扱いに、パラスナイトのセレナは疑問をぶつけるのだった。シャノンや彼女の母、弟のトビーとの触れあいの中、ルキアンはひとときの安らぎを味わっていた。それでも自分の帰るところはクレドールしかないのだと、ルキアンは理解する。が、そのとき、彼らに惨劇の影が忍び寄っていた。

第24話 漆黒の翼・リューヌ

ナッソス軍が各地で駆逐された結果、同家の領内は一時的に無法の地と化してしまった。シャノンの家にも傭兵くずれのならず者たちが押し入ってくる。悪人といえども撃ちたくないという思いのため、皮肉にもルキアンは、銃の引き金を引けないまま倒されてしまう。シャノンの母は殺され、トビーも瀕死の傷を負った。シャノンはルキアンの目の前で暴行されてしまう。為すすべもないルキアンに、謎の声がまた聞こえてきた。ならず者たちに対する己の殺意を肯定せよと、ルキアンに迫る謎の声。ついにルキアンが殺意を認めたとき、突然、例の幻の黒衣の女が姿を現した。彼女は、自分はルキアンに仕えるパラディーヴァだと告げ、リューヌと名乗る。暴漢たちの命を冷酷に奪った彼女に、ルキアンは怒る。だが、それを命じたのはルキアン自身だと言うリューヌ、彼には返す言葉がなかった。

第25話 赤き焔、そして蒼き光

残された敵機の無数の残骸を前に、ルキアンは我に返った。幸い、トビーは生きて発見されたが、ならず者たちが彼に加えた暴行の痕はあまりに惨たらしいものだった。シャリオの神聖魔法ならトビーの命を救うことができるかもしれない。しかしシャノンとトビーを連れてクレドールに戻れば、ルキアンが彼らの敵であるギルド側の人間だと知られてしまう。それでもルキアンは少年の命を救うため、クレドールに戻るのだった。憎しみのままに戦ってしまったとき、ルキアンの見た「紅蓮の闇の翼」の幻……。赤い巨人の禍々しい姿に、彼はステリアの暗黒面を感じ取る。迷いながらもルキアンは今後への決意を示す。それを穏やかに肯定しつつ、クレヴィスは告げる。人間に正しい答えなど出せないからといって、そのことが「答えを出さなくてよい理由」になるわけではないのだと。

第26話 孤軍

反乱軍の本拠「レンゲイルの壁」を攻めあぐねる議会軍。知謀を誇る敵将ギヨットの指揮下、最新鋭の機体と豊富な実戦経験を有するレンゲイル軍団に対し、議会軍の被害は増えてゆくばかりであった。レンゲイル軍団の切り札、陸戦型重アルマ・ヴィオ「スクラベス」の前に、議会軍は劣勢を強いられる。だが皇獅子機装騎士団が援軍として到着し、同騎士団所属の議会軍エース、クロワの奮闘によってスクラベスも一旦は押し戻された。そのとき、反乱軍のアラノスの一隊がクロワを空中から狙う。彼の危機を救ったのは、ギルドの繰士カリオスだった。桁違いの実力でアラノスを次々と撃墜するカリオス。そんな彼の脳裏に、謎の存在・テュフォンと出逢ったときの記憶が不意に浮かぶ。他方でテュフォンは、謎めいた遺跡のような場所で、あのリューヌや「博士」の名を口にしていた。

第27話 風のゼフィロス(第一部)

ギルドに包囲されたミトーニア市では、降伏もやむなしとする意見が市の首脳部で大勢を占めるに至る。徹底抗戦を主張するアール副市長は、聞き入れられないと見るや、配下の兵士たちを使って市庁舎を占拠する暴挙に出た。市内に何か異変が起こったのではと疑うクレヴィスは、ルキアンに偵察を依頼する。出撃しようとするルキアンにエルヴィンが告げた、「風の力を宿した飛燕の騎士」とは? ナッソス家もギルドに反撃を開始する。カセリナ率いる空中竜機兵団がギルド艦隊を奇襲、地上では「四人衆」のザックスとパリスが旧世界の陸戦型アルマ・ヴィオ「レプトリア」を駆り、ギルドの陸戦隊を攪乱する。苦戦する味方を守ろうとルキアンはザックスらに戦いを挑むが、実力の差はあまりにも大きく、たちまちアルフェリオンは大破寸前にまで追い込まれてしまう。だが、そのとき…。

第28話 風のゼフィロス(第二部)

付近一帯を覆い尽くす冷たい妖気の中、召喚されたリューヌと融合するアルフェリオン。その圧倒的な力の前に、歴戦の勇者ザックスとパリスも退却を余儀なくされる。だがルキアンの精神力も限界に達し、アルフェリオンは大地に崩れ落ちるのだった。そんな頃、ガノリス王国には、侵攻する帝国軍との戦いに敗れ、逃避行するグレイルたちの姿があった。さらにミトーニア近郊では、ギルド艦隊を奇襲したカセリナたちをプレアーとレーイが迎え撃つ。ルキアンは、ギルドとミトーニア市の間で遂に戦いが始まったことに落胆しながらも、再び立ち上がる。そんな彼にリューヌが告げた「地上界」の真実…。かつてのエインザールの行いを誤りだと言いつつも、彼の願いは理解できるというルキアン。気を取り直したルキアンは、クレヴィスの依頼によってミトーニアの市庁舎を偵察に向かう。

第29話 風のゼフィロス(第三部)

人や世間を嫌い、孤独に引きこもり続けるイアラは、水のパラディーヴァ・アムニスの願いにもかかわらず、御子としての使命を引き受けようとしない。パラディーヴァが動き始めていることを、人外の黄金仮面たちは警戒し始めていた。彼らと手を組むメリギオスも、パルサス・オメガの力をわがものとするために着々と計画を進めつつあった。ミトーニア市をめぐるクレドールの戦いは続く。激突するレーイとカセリナ。偵察中のルキアンは、市長秘書シュワーズからの念信を受けた。市内を制圧した抗戦派から彼を救うため、ルキアンは意を決してアルフェリオンで急襲を仕掛ける。抗戦派側との戦いの中、一瞬、彼はゼフィロス・モードへの変形に成功するが…。そんなルキアンを遠く見守る者があった。さらなる御子、「紅の魔女」アマリアと、地のパラディーヴァのフォリオムである。

第30話 王宮の陰謀

パルサス・オメガを前に笑みを浮かべるメリギオス大師とファルマス。魔道士アゾートは、オメガの恐るべき自己修復・自己進化の機能について彼らに語る。反メリギオス派のジェローム内大臣は、レグナ騎士団長ヨシュアンや王女の教師役ルヴィーナらの助力のもと、議会軍のマクスロウ少将と密かに接触を図っていた。しかし頼みの剣豪ヨシュアンは、不治の病のために余命わずかであった…。その頃、アレスとイリスは、パラス騎士団に囚われたチエルを探して王キにやって来た。不慣れな都会で財布を盗まれてしまうアレスだが、賞金稼ぎフォーロックの思わぬ助けによって事なきを得た。ミトーニアでは、抗戦派を撃破したルキアンをシュワーズと神官リュッツが出迎える。市庁舎を占拠し市長らを監禁しているアール副市長と抗戦派の行いを、リュッツたちは市民に暴露しようとしていた。