11期の活動のまとめ/12期の展望

11期の活動を振りかえり、
12期の活動を展望すると


1.学習会
 11期は、学習会「フィリピンの歴史編」に続いて、「フィリピンを感じよう!編」に取り組んできました。
 「体験!フィリピンの子どもたちの遊び」や「滞日フィリピン人の生活」「モノから考えるフィリピンと私たちの結びつき」など身近なテーマからフィリピンを考え、感じよう!というコンセプトでの学習会です。12月に予定している恒例の「フィリピン料理の集い」も今年は学習会の一つとして取り組みたいと思います。京都中心になりますが、今後も継続して学習会を開催していきます。ぜひご参加下さい。

2.サンロケ・ダム問題
 サンロケ・ダム問題では、99年には、北部ルソン(コルディリェラ)からダム建設に反対しているダルピリップ村の住民代表ポクディンさんや、先住民族組織・CPAの人達が二度にわたり来日して、日本の市民への問題提起、日本輸出入銀行(現在の国際協力銀行)、丸紅、関西電力などとの交渉を展開しました。日本の政府資金(私たちの税金や預貯金)=国際協力銀行と民間の銀行団の資金を使って建設されようとしている巨大ダムによって脅かされるフィリピンの先住民の暮らしや文化について知る機会になりました。同時に日本政府の開発援助の現実(開発による人権侵害や環境破壊など)を問うものでもあります。
 私たちは、ODA問題に取り組む人たち、ダム問題に取り組む人たち、先住民族問題に取り組む人たちと協力しながら、この問題に取り組んできています。今年の春のスタディ・ツアーは、NGO「地球の友」の人達や、徳島でダム問題に取り組んでいる方々との合同ツアーで北部ルソンを訪問しました。
 サンロケ・ダム問題は大きな課題です。他の様々な団体との連携・ネットワークを広げ、フィリピンの先住民、ダム建設に反対する人々の声を受けとめ、多くの日本の市民に知らせていくために、全力で取り組みを続けていきます。

3.パヤタスのセンター活動
 マニラ首都圏の北東部にある都市貧民地区パヤタスでは7月10日のゴミ山崩落事故が発生するまでは、通常通りの活動が続けられていました。センターでは、1階でのデイケア(幼稚園)活動を軸としながら、2階ではパヤタスの住民組織・サンカップの活動や、ケソン市の都市貧民組織による地域住民へのセミナーや技術訓練など、多彩な活動が行われていました。
 7月10日の災害当日からは、被災者の救援センターとして重要な役割を果たしています。8月に訪問した時には、1階のデイケア活動は既に再開されていましたが、2階には救援物資が山のように積み上げられ、建物の正面には、パヤタス災害の被災者救援センターの旗が掲げられていました。
 ケソン市や政府は今回の事故を口実にして、地域住民の立ち退きを計画しているといわれています。そうなるとデイケア・センターも立ち退きの対象となってしまいます。現地の住民たちは、「移転すべきはゴミ山(ゴミ投機場)であって私たちではない」と主張して頑張っています。今後の先行きはまだ不透明ですがこの地域の人々の自主性を尊重しながら、センターでの活動と、災害復興活動・住民達の居住権を守るための現地組織の活動への支援を継続していきます。

4.再定住地モンタルバン
 ケソン市の北に隣接するリサール州にあるモンタルバン。ここは小高い山と山間の湿地帯に広大な水田が広がる農村でしたが、近年山を切り開き、水田をつぶして再定住用の住宅建設が大規模にすすめられています。
 その一つが「モンタルバン・ハイツ」で山を切り開いた斜面に家々が建ち並んでいます。ケソン市内から強制立ち退きさせられてきた都市貧民の移住地になっています。
 もう一つが、「カシグラハン・ビレッジ(エラップ・シティ)」と呼ばれる湿地帯に作られた再定住地で、パヤタスで被災した人々の移転先となっています。もともとはパッシグ市の強制立ち退きで追い出された都市貧民のための移住地に指定されていたところですが、パヤタスの災害が起こったために急遽パヤタスの被災者に割り当てられることになり、多くの避難民が仮設の住宅に生活しています。この仕事のない不便な土地で新しい「生きるためのたたかい」がはじまっています。
 私たちはすでにこの数年「モンタルバン・ハイツ」の住民団体と交流を続けており、小規模な生計プロジェクトへの支援も行なってきていますが、今後はパヤタスからの移住者の住む「カシグラハン・ビレッジ(エラップ・シティ)」への復興支援も検討していきたいと思います。

5.ピナトゥボ被災者復興活動
 10期から行なってきた、アクリ避難所内にあるデイケア・センターでは順調に1年間の授業を行なうことができました。ピナトゥボ噴火から10年目を迎えた今も避難所生活を続けざるを得ない人々にとって子どもたちの将来への不安と希望はいかばかりかと思うと、ささやかであっても、協力できることは本当に意義深いことだと思います。今後もピナトゥボ被災者の復興活動を支援していきたいと思います。

6.スタディ・ツアー
 2000年春には、北部ルソンを訪問しサンロケ・ダム問題への取り組みについての協議や現地交流を行ない、パヤタスではデイケアの卒園式にも参加してきました。
 夏のツアーは、災害後初のパヤタス訪問でした。現地で救援活動の中軸となっているカダマイやサンカップの方々とともに、救援物資配りを行ない、被災現場・避難所・再定住地などを見てまわり、住民達の災害に対する行政の責任を問う裁判の提訴にも立ち会うことができました。またマニラ首都圏のマグダレナ地区や、モンテンルパなどの都市貧民地区も訪問しました。

7.ODA(政府開発援助)改革
 サンロケ・ダム建設やパンパンガ・デルタ開発など、住民が中止を求めている開発プロジェクトがあります。
 こうした問題のある日本のプロジェクトを中止(あるいは計画変更)させるために、日本国内でのキャンペーン活動と、現地組織への情報提供を行っていきたいと思います。
 こうした活動を通じてODAによる被害者(都市貧民・農民・先住民が大規模プロジェクトによって人権・居住権を無視した立ち退きを迫られています)を減らすこと。さらにODA改革を進めることができればと思います。
 ODA改革に取り組む「ODA改革ネットワーク」(今年9月改称)にも積極的に参加して行きたいと思います。

8.会報「こどもの未来」
 11期会報発行が大幅に滞ってしまいました。事務局メンバーの個々人が各々多忙になってきていることが大きな原因です。決して活動が停まっていた訳ではありません。総じて事務局メンバーの時間や力量がやりくりできなくなっており、なんとか立て直したいと思っていますが、すぐに解決できる訳ではありません。当面は、隔月定期発行体制を最低限維持する方向で努力したいと思っています。会報が届かないこと
で会員の皆様には大変ご心配をおかけし,また情報がないことでいらだっておられるかと思いますが、ご理解ください。
 会報発行は会員の皆さんと事務局をつなぐ重要な活動であり、できる限り定期発行を行いたいと思います。
 今後も「豊富な内容、わかりやすい紙面」を心がけて、フィリピンの人々の生活、NGO・現地組織の活動紹介、開発援助問題、私たちの活動などについて発信していきたいと思います。
 皆さんからのお便りや投稿を待ってます。
 Eメールを使われている方、メールを送ってください。待ってます。(メール・アドレスは表紙に)

9.リーフレットの作成
 CFFCの活動をコンパクトにまとめたリーフレットを十一期に作成したいと思いながら果たせませんでした。12期にはぜひ作成したいと思います。

10.マグダレナ・タオルの販売
 マグダレナ(マニラのトンドにある都市貧民地区)の女性たちの生計プロジェクトとして行われているタオルの販売をしています。
 11期には、大阪YWCAの方々、ソロプチミスト南京都の皆さんのご協力でイベントなどで大量に活用していただきました。ご協力ありがとうございます。
 手編みなので形は不揃いですが、使いごこちのいいタオルです。種類も色々あって、浴用の健康タオルから食器洗いまで、用途も色々です。販売にご協力いただける方は、ぜひ、ご連絡ください。

11.民芸品販売
 またフィリピンの民芸品販売なども行っています。学校の文化祭等での販売協力や、バザーなどへの出店を行っています。昨年は会報を通じて民芸品セットの販売も行いました。
 バザーや、学園祭などで販売できるョという方はご一報ください。

12.支援物資・古着送り
 支援物資・古着送りは、経費がかかるため、経費負担をお願いしています。
 11期は、北部ルソン・MRRSと中部ルソンに船便で郵送、またツアーの際にも、古着を運んでいます。

13.事務局
 私たちCFFCは専従者なしで活動しています。これまでも、専従者を作るべきかどうか、何度も悩んできました。専従者を作るためにはかなりの費用と専門的な活動能力が必要です。残念ながら現在のCFFCには専従者を作るだけの安定した資金力はありません。会費の多くが専従者の人件費に費やされるのでは本末転倒になってしまいますし、様々な政府系のあるいは民間の資金を活用して専従者を作るのも、「市
民の手作りの国際連帯」という私たちの活動の趣旨と離れてしまうような気もします。他方で、現在のような体制では活動の不安定さがつきまとうというマイナス面の大きさも否めません。今のところ結論があるわけではないので、事務局メンバーの努力を寄せ集めての運営を続けていきます。
 事務所に来て、作業を手伝えるよ、資料の翻訳できますよ、という方は、ご連絡ください。

14.最後に
 今年は、いよいよ20世紀最後の年。21世紀は目前です。「戦争の世紀」と呼ばれ、「南北格差の世紀」でもありました。
 私たちが今取り組んでいる支援や連帯の活動が、子どもたちの時代21世紀には、世界の人々が平和で飢えることなく、子どもたちの未来が貧しさのために摘み取られることのないような、そんな世界につながることを信じて。
 また今年も一年一緒に歩みましょう!

<役 員 体 制>
代表世話人  服部 恭子
事務局長 藤原 敏秀
事務局員 石原 秀和
永田 貴聖 (学習会)
仲野 豪  (ホームページ)
早川 真美子
鶴岡 めぐみ(翻訳)
日笠 哲二 (現地協力)
北畠 成男
他、若干名
現地スタッフ  リサ・クラモール
会計監査 椎名 みゆき
長谷川 啓子

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