ぼうけんき
『お兄ちゃん』

2010/05/21UP


「あ~っ、アインったらまたおねしょなんかして~っ!」

ドーリーの叫び声でアインの目覚めは破られた。

「???」

濡れてない。

おねしょなんかしていない。

「もう、いくら俺でもそんなに毎日はしないよ」

ずいっ

「じゃあ、これは何?」

ドーリーが怖そうな顔をして掴んで突きつけたシーツはちっとも濡れてない。

「ドーリー?そのシーツは濡れてないんだけど」

アインが恐る恐る答える。

今朝のドーリーは少し変だ。

見た目は変わらないのに妙な迫力があって男の子っぽい。

「とぼける気?それにお兄ちゃんを呼び捨てにしてどういうつもり?」

「お、お兄ちゃん?」

ドーリーはアインよりも2つ年下の筈だ。

何か妙な魔法にでもかかってるのかな?

そう思ったアインはこの時間なら台所にいるであろうツヴァイに相談しようと怒鳴るド
ーリーを取り合えず無視して部屋を出る。

ツヴァイはアインの股間を見て溜息をついた。

「あ~、アインってばまた・・・」

濡れてない。

「よくもまあ、飽きずに毎日毎日おねしょできるね」

「だから、してないんだってば」

「小さいから仕方ないけど・・・おむつとか作ろうか?」

ツヴァイも妙なことを言った。

年齢はアインが12歳、ツヴァイが11歳、ドーリーが10歳の筈。

「ツヴァイ、アインがおねしょしたって認めないんだ」

「昨日、兄ちゃんが脅かし過ぎたんだよ。今度やったらお尻ペンペンとか」

どうなってんだ?

ドーリーが兄ちゃん?

「アインには選ばせてあげる。約束通りに歳の数だけお尻ペンペンか、朝食抜きか」

「兄ちゃん、朝食抜きはかわいそうだよ」

「アインが言ったんだぞ、今夜は絶対におねしょしないって」

なでなで

「な、アインも悪いんだからお尻を5回ペンペンされよ?」

5回?

それって俺が5歳ってこと?

悩んでいる間に椅子に座ったドーリーの膝に乗せられてしまう。

「さ、ズボンとパンツを脱がすよ」

やだよ、そんなの。

俺はおねしょなんかしてないもん。

それに年下のドーリーにお尻を叩かれるなんて。

ばちん

痛っ・・・って何でお尻じゃなくってほっぺたが痛いんだろ?

朝の台所。

「アインは起きた?」

「うん、ほっぺたを抓って起こして来た」

「年上の癖に年下みたいだよね、アインって」

「ツヴァイ兄ちゃん、ドーリー兄ちゃんって呼ばせよっか?」

(了)
実は、ツヴァイ兄ちゃんもドーリー兄ちゃんもアインを甘やかしていると思う。

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