ぼうけんき
第4話『はじめてのお相手は?』

2005/06/10UP・2010/04/24修正


RPGのようなファンタジーの世界。
そこに3人のショタっ子がおりました。
 
それは冒険者ですらない彼らの無軌道な冒険の物語。
 
耳とか尻尾とか生えてケモ化してしまった挙句、本物じゃないと言われてしまい消えようとしていた3人でしたが。


寒い。

アインは震えながら目を覚ました。

服を着ていない。

素っ裸で道端に転がっていた。

野良犬。

自分は人間ではない。

本物のアインの記憶を持っているだけのケダモノ。

尻尾がなによりの証拠。

「アイン・・・」

蝙蝠のような羽根の生えたツヴァイも本物じゃない。

「俺、アインじゃないもん」

例えアイン以外に名前を持たなくても自分はアインじゃない。

「お前だってツヴァイじゃない、本物はお師匠様の所に居るもん」

ぱたぱたぱた。

荷物を抱えたドーリーが走ってくる。

ぶかぶかの服に、ぶかぶかの帽子。

ウサギのような耳に額の角、そして丸い尻尾は見事に隠れている。

「お前だって本物のドーリーじゃないんだろ?本物ならそんな薄汚れた格好しないよな」

アインはぶかぶかの服で尻尾と耳を隠しながら悪態をつく。

「・・・アイン、どうしちゃったの?」

「また記憶の混乱だよ」

「早く、淫獣と魔剣を取り返さないとね」

「で、親方は仕事回してくれそうだった?」

「・・・うん、春を売る仕事なら回してやるって、獣人を買いたがる人は多いからって」



アインは頭の上の三角の耳をピンと立て、尻尾の毛を逆立たせて警戒態勢に入る。

ツヴァイは既に半分自棄になって羽毛の無い翼を大きく広げ、尻尾を股の間から出して胡座を掻いている。

ドーリーは長い兎耳をしょげ返ったように垂らし、今にも泣き出しそうな顔をしている。

彼らを買った女は満足そうにニヤニヤと笑っている。

「魔剣と契約することで寿命を延ばすとは考えたもんだ」

「考えたんじゃなくって魔剣が教えてくれたの」

ドーリーが答える。

「でも意識が戻った途端にツヴァイが逃げるから・・・」

「僕が悪いって言うのか?」

「アインの方はまだ契約の途中だったんだよ、淫獣の影響も残ってたからややこしいんだよ」

「まあ、どうでもいい。こうして3人を手に入れることができたんだから。

 ・・・男に買われなくてよかったな。

服はもう脱いでくれてることだし・・・そうだな貞操帯でも着けて貰おうかな」

ガチャ、ガチャ、ガチャ。

下半身に感じる嫌な鉄の感触。

「親方に媚薬を塗られてるんだろ?朝まで頑張ってくれ」

ばたん。

「・・・」
「・・・」
「・・・」

今の状態の3人にとっては放置されることが一番辛い責めであった。

がちゃ。

「そうそう、そのままの名前じゃ不便だから、ポチ、タマ、ラブが新しい名前な」

ばたん。

「・・・俺がポチだよな?イヌじゃないんだけど」
 
とキツネっ子のアイン。

「タマってのはちょっと酷いと思う」

と悪魔っ子のツヴァイ。

「ラブってのもなにも考えてない」

とウサギっ子のドーリー。

「・・・」
「・・・」
「・・・」

ぷぷぷっ。
大爆笑。
お互いに笑えて笑えて仕方が無い。

「な、ポチ・・・」

「ポチって呼ぶな、タマ」

「じゃあ、イヌっころ」

「ポチでいい・・・」

「貞操帯ってどうやっておしっこすればいいんだろ?」

「その前にこの部屋にはトイレが無いよ」

3人は顔を見合わせる。
おしっこも朝まで我慢?
彼らに装着されているのは魔法の貞操帯らしく単に脱げないパンツというわけではない。
ペニスまでが何かに押さえつけられ、アナルにも何かが詰められたような感覚がする。
そして出荷前に親方に塗られた媚薬の効果で疼いて痒くて仕方がないのだ。

見張られていたのか扉の向こうから声が聞こえる。

「準備が整うまで我慢してろ、下手にエネルギーを消耗すると朝までに消えるぞ」



さて、尻尾の無い3人組、即ち本物の筈のアイン、ツヴァイ、ドーリーは困っていた。

「≧Ν÷〇☆〆・・・」

何も起こらない。

ツヴァイは呪文が使えなくなっていた。

他にもドーリーは感覚が鈍くなっているし、アインは覚えた筈の読み書きを忘れていた。

お師匠様は3人を呼び集めると諭すように語り始めた。

「ちょっとマズいことになってる」

「僕が魔法を使えないとか、料理が下手になったことと関係してるんですか?」

最近のツヴァイはかなり落ち込んでいる。

「ある・・・というか元凶だな。可能性の洞窟に行ったことが原因なんだが」

可能性の洞窟で得られるべきものは分身とも言える召還獣である。
耳や尻尾、翼や角などを持つ召還獣は、主の才能を具現化した存在だ。
本来は洞窟から飛び出してくるそれと自動的に契約が交わされる。
だが、魔剣と淫獣という魔法アイテム、更に3人に獣人や魔族の血が混じっていたことが重なった。
その結果、契約は為されなかった。
契約されていない召還獣は長くても1週間で消える筈だった。

「・・・あの洞窟、そういう洞窟だったんだ」

アインが感心したように頷く。

「装備もアイテムも取られて素っ裸で弾かれたから拒絶されたのかと思ってた」

ドーリーも頷く。

「帰ってくるの大変だったんですよ、山賊に捕まったふりして街の前で逃げ出して」

とツヴァイ。

「そうそう、魔法のアイテムがパーになったからって凄く機嫌悪くて・・・」

「もう少しで奴隷に売られるところだったね」

「で、だ。困ったことに召還獣が消えてないんだ」

「あの、もしかして少し前に来た、俺達のそっくりさんの獣人が召還獣?」

「そうだ、話がややこしくなるから放り出したんだが・・・朝には消えると思ったし」

ツヴァイがおずおずと手を挙げる。

「あの、もしかして僕達の才能っていうかそういうのは向こうに取られてて消滅しないと僕達はずっとこのまま?」

「そう、いわゆる成長はしないな」

「・・・」
「・・・」
「・・・」

お師匠様は困り果てたように頭を掻いた。

「アインが2人もいるという状況もマズいし何とか統合しようと思う・・・で、そのなんだ・・・」

彼女にしては珍しく顔を真っ赤にする。

「童貞の喪失もまだな男の子なのに申し訳ないとは思うのだが・・・オカマを掘られてくれ」



ばたん。

「お、終ったら呼んでくれ・・・」

魔法使いの癖にオーガーを素手で倒すような女傑のお師匠様にも苦手はあるらしい。

ポチ、タマ、ラブと命名したアイン、ツヴァイ、ドーリーのケモ化した分身の下半身を見て退散した。

貞操帯を外されたそれは既に発射体制になっており、しかもかなり臭う。

「うわっ・・・俺よりずっと大きい」

アインは、ポチのイチモツを見て驚嘆する。

「可能性ってぐらいだから成長してるんだろうね」

と相変わらず呑気なドーリー。

「こ、こんなのを挿れなきゃいけないの?」

冷や汗を垂らして焦るツヴァイ。



アインVSポチ(キツネ耳+キツネ尻尾)

「・・・つんつん触るなっ!今にも出そうなんだぞ!!」

「いいじゃん、俺のなんだろ・・・いいなあ大きくて」

「お前のが小さ過ぎるだけなんだよっ、ふにふにするなぁ〜っ」

「まだ大きくなるんだ」

「さっさと用意しろっ!」

「分かったよ・・・ぎゃんぎゃん五月蝿いんだから・・・って・・・ひぃ・・・」

「ち、力抜けよ、キツくて痛いんだから」

「ひ、ひぃ、酷い、イキナリ・・・」



ツヴァイVSタマ(蝙蝠羽根+悪魔しっぽ)

「・・・よろしく、お手柔らかに」

「ごめんな、こんなことになちゃって」

「仕方無いよ、それよりゆっくりな」

「うん、まず解すね、ふにゅふにゅ・・・」

「あ、あっ・・・僕まで感じる・・・」

「ずずず・・・大丈夫?痛くない?」

「へ、平気だから・・・もっと優しく・・・」



ドーリーVSラブ(角+ウサギ耳+ウサギしっぽ)

「ぼくね、初めてなの」

「ぼくだって初めてだよ」

「ちょっとヘンだね」

「うん、童貞と処女を本人同士で捧げあうなんてね」

「どうせなら、ファーストキスとかも・・・」

「やん!」



翌朝。

疲れきった3人は床でぐったりと寝ていた。

分身は精を本体の中に限界まで放つと、そのまま吸い込まれるように消えていった。

実にシュールな光景であった。

残ったのは受け攻め二人分の疲労。

特にアインは悲惨だった。

「ま、前も後ろもヒリヒリする・・・」

「何も考えずに強引にやるからだ」

「相手は自分なんだから優しくやらないと」

「で、でもこれで何とかなったな」

「・・・アイン、お尻」

「尻尾だね、それ」

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