あきらくんのクリスマス写真

2009/12/24UP

(解説)
久々に書いたら何か違う気もする。
クリスマスネタってことで。
でも前にも7歳のクリスマスやってるよね(笑)


「そんなの見せちゃダメ〜っ」

 お姉ちゃんの秘密兵器『あきらくんのはずかしいアルバム』。

 いくら僕でもアレを見られるのは恥ずかしい。

「だめよ。言うこと聞かなかった罰だからね」

 お姉ちゃんはそう言うとページを広げてお姉さんとヒロシ兄ちゃんを手招きした。

 僕はアルバムを取り上げようとしたんだけどダメだった。

「だって、何やってもちっとも懲りないんだもの」

 いつもと同じお姉さんの喫茶店。

 クリスマスだからツリーが飾ってある。

「調子に乗ってお酒なんか飲ませた僕が悪いんだし・・・」

 ヒロシ兄ちゃんはそう言ってくれたんだけどお姉ちゃんは許してくれない。

「ちょっとだけだったし、薄いのだったからジュースと間違えたんだよね?」

 お姉さんもそう言って庇ってくれる。

「いーえ、完璧にお酒だって認識してたわよ。この子は」

 お姉ちゃんはそう言いながら僕を怖い顔で睨んだ。

「でもまあ、クリスマスだし軽めの罰で」

 ちっとも軽くなんかないっ!

 そりゃあ、お尻をペチペチされるのと違って痛くないけど・・・

 心が痛いのっ!!

「どこでそういう生意気な言い回しを覚えてくるのかな?」

 あ痛たたた・・・口をツネらないでったら。

「ってわけでご開帳っ」

 お姉ちゃんが広げたアルバムには僕の恥ずかしい写真の数々。

「コレが幼稚園の時のお漏らしで、コレがおねしょ布団と一緒の」

 うわ〜ん、小さい頃の失敗じゃないか〜っ

「今でも小さいと思うけど?」

 とヒロシ兄ちゃん。

「まだ、7歳だもんね」

 お姉さんまで。

 でもでも、幼稚園の頃に比べたら大きいもん。

「あら?このおねしょなんか半年ぐらい前のよ」

 うわ〜ん、もうずっとしてないもん!

 僕は真っ赤になって反論した。

 お姉ちゃんだって小さい頃は、おねしょしてたハズだもん。

 僕だけ恥ずかしいの不公平だよ。

「もう寝るもん」

 ここは僕の家じゃないけど2階にはちゃんと僕の部屋があってお布団も敷いてある。

「ちゃんとトイレしてから寝るのよ」

 小さい子じゃないんだってば。

 お姉ちゃんもお姉さんもヒロシ兄ちゃんもすぐに僕を子供扱いする。

 そりゃあ、みんな大人だけど僕だっていつまでも子供じゃないのに。

 がらっ。

 部屋にはサンタさんの絵が飾ってあった。

 ヒロシ兄ちゃんが描いた絵だ。

 美大生だから色んな絵を描いて店とか部屋とかに飾ってる。

 サンタさんにお願いすればよかったな。

 弟をくださいって。

 一生懸命かわいがるの。

 どんな風にって?

 えっとね、お漏らしの後始末してあげたりとか、おねしょしたら叱ったりとか、後で生意気言えないように写真撮ったりとか、言うこと聞かなかったらお尻をペンペンしたりとか・・・

 何か違うって?

 でもお姉ちゃんはそうしてたよ。

 え?それだけじゃないでしょって?

 うーん、どうだったかなあ・・・

 あ、おトイレ行ってない・・・でも眠いからいいや。

 おやすみなさい。

 ☆☆☆☆☆

「わーい、弟だあ」

 僕は誰かに、ぎゅっとされて目が覚めた。

 え?

 僕?

「サンタさん、ちゃんと弟くれたんだ」

 え?え?え?

 僕は『あきら』だよね?

「それは、お兄ちゃんの名前。君の名前は後でお姉ちゃんと考えてあげる」

 え?え?え?

 僕が弟なの?

 いや、僕はそこにいるし、じゃあ僕は?

「ごめんなさいは?」

 ごめんなさい?

「そう、おねしょしちゃってごめんなさいって」

 えっ?

 その時、僕は自分のパジャマが濡れてて布団も濡れてることに気が付いた。

 あれ?

 パジャマなんか着たっけ?

 それに体が小さいような気もする。

 部屋の隅の鏡を覗き込んだらそこに映っていたのは小さな頃の僕。

 4歳ぐらい?

 隣の7歳の僕が随分とお兄ちゃんに見える。

「ほら、ちゃんと謝らないとダメでしょ?」

 うわっ、パンツ脱がさないで。

「ちゃんと拭かないと風邪引いちゃうよ?」

 いい、ゴシゴシしなくっても。自分でやるから。

「後でお布団と一緒に写真を撮ろうね」

 だめ、そんなの。

「お兄ちゃんの言うことはちゃんと聞くの!

 それからちゃんとごめんなさいもするの。

 悪い子はお尻ペンペンなんだからね」

 こんなお兄ちゃんヤだ。

 ヒロシ兄ちゃんならもっと優しくしてくれるもん!

 お姉ちゃんだって、隠したりしなきゃおねしょしても怒らないもん!

 ☆☆☆☆☆

「お姉ちゃん!」

 お姉ちゃんは僕の隣で眠っていた。

 少しお酒臭い。

 僕の部屋はあってもお姉ちゃんの部屋までは無い。

 だからこの部屋で寝たんだ。

 一緒にお泊りする時はいつもそうだから。

「ん?何?弟くん」

 慌てて、鏡の覗き込んだんだけどそこに映っていたのはちゃんと7歳の僕。

 もう、変な呼び方しないでよ。

 ・・・パジャマ濡れてないよね?

 取り合えず、お姉ちゃんの鞄の中のカメラを隠さなくっちゃ。

 それからお姉ちゃんが起きたら謝るの。

 TOPへ戻る