弟くんの受難2
−地獄の足の裏−

2000/05/13UP

(解説)
お姉ちゃんは優しいんです。
きっと弟にチロルチョコぐらいは奢ってあげてます。



「涼平、出掛けるわよ。さっさとランドセル置いていてきて」
 
 玄関を開けると出し抜けに涼子にそう言われた。

 3歳年上で中学生の姉、涼子は暴君だ。

 逆らうと酷い目に遭う。

 涼平は、そのことをよ〜く知っていた。

 ハイハイと素直に従う。

 逆らわなくても酷い目に遭うことは同じなのだが、生意気だと言って殴られない分だけ得である。

「なあ、姉貴?何処行くんだよ?」

 歩きながら涼平が口を尖がらせる。

「フット・リフラクソロジーって知ってる?」

「なに?それ?フットボールかエコロジーぐらいしか知らない」

「ふう、相変わらず無知ね。とてもわたしの弟とは思えないわ」

「姉貴の弟だからバカなんだよ!」

「足裏マッサージとも言うわね」

「最初から、そう言えよ!中国とかでやってる足の裏のツボがどうの血行促進がどうのって奴だろ?」

「近所でやってるところがあるのよ」

「金、あんのかよ?高いんじゃないの?」

「だから、あんたと一緒に行くのよ」

 ピタッと涼平の足が止まる。

「俺、金なんか持ってねえぞ」

 涼子はパチンと涼平のオデコを弾く。

「当たり前でしょ。小学生の懐を当てにする程、落ちぶれてないわよ」

「じゃあ、何で俺が行くと安くなんだよ?」

 涼子は少し考えてからこう言った。

「……先生がね、あんたのクラスの子のお兄さんなの」

「汚ったねえ〜、姉貴ってそんなのばっかり」

「でも、女の子に評判良いのよ。他の先生と違って女の子をイヤらしい目で見ないって」

 やがて、『足裏治療』という看板が見えた。

 クラスに、こんなとこに住んでる奴いたっけ?

 大体、ここって学区から外れてるんじゃ?

 涼平はそう思ったが、もっと重要なことに気が付いた。

「姉貴、3時までって書いてあるぜ。今はもう6時前だぞ」

「いいからいいから……」

 涼子は、そう言って涼平の背中を押して診療所の中へ入っていく。

 時間外なので誰も居ない。

 涼子は、ためらうことなく、涼平の手を引いて奥へと進んでいく。

「やあ、いらっしゃい」

 若い男の先生が予想していたように声を掛ける。

「連れてきちゃいました。弟です」

 涼子は、涼平に頭を下げさせる。

「君が涼平くんか。我慢強いんだってね」

 先生は嬉しそうに、涼平のほっぺをペタペタと触る。

「あの?ガマン強いって?」

「は、はい。この子は頑丈で象が踏んでも壊れませんから何をしたって大丈夫です」

 事態の飲み込めない涼平に変わって涼子が答える。

 そ、そういえばテレビのレポーターは痛い痛いって騒いでいたっけ。

 とするともしかして、この先生って凄いヘタクソで、俺を練習台にするつもりなんじゃ?


 きっと、この先生のお父さんか何かが腕が良くって、姉貴はそっちにやってもらうつもりなんだ。

「姉ちゃんが先にやってもらってよ」

 その台詞で涼子の企みは潰える筈だった。

「もう、怖がりなんだから。お姉ちゃんがやってもらうのを見てなさい」

 拍子抜け。

 涼子は診察台にうつ伏せになって足裏マッサージを受けた。

 確かに、物凄く痛そうだ。

 表情を見ればそれが分かる。

 気の強い涼子は泣き言を言わないが苦悶の表情で脂汗を浮かべている。

 大きな湯のみの白湯を飲んで、失われた水分を補給して終わり。

 「ふう…痛かったけど、とってもスッキリしたわ。今度は涼平の番よ」

 オカシイ。

 涼平の第六感は告げていたが断るべき理由は何もない。

 先生に言われるままに、診察台にうつ伏せになる。

「涼子くん、上に乗って押さえ付けてくれるかな?」

「は〜い!」

 涼子が嬉しそうに涼平に馬乗りになる。

 見ると先生もニコニコしている。

「どうして、ぼくの時だけ押さえ付けるんですか?」

「小学生だからね。痛がって逃げる子が多いんだよ」

 げ!

 そう思ったがもう遅い。

 コリコリと揉み始められた瞬間、電流のように激痛が走る。

「ぐっ、ぐぐぐぐぐぐ……」

 必死に耐えるが、地獄の苦しみだ。

「こらじっとしなさい」

「ね、姉ちゃん……」

「何よ?」

「これって女だと痛くないとか、子供だと痛いとか……」

「同じよ。わたしだって耐えたんだからね。あんた男でしょ?」

 そ、それを言われると辛い。

 確かに俺は男で、姉貴は目の前で耐えて見せたんだ。

 やがて、地獄の苦しみが爽快感に変わっていく。

 そうか、この気持ちがいいんだ。

 涼平は満足していた。

 姉貴に引っ張って来られたにしてはいい結果じゃないか。

「どう、気分良くなった?」

 先生が白湯を飲んでいる涼平に尋ねる。

「はい、とっても」

「じゃあ、第2ラウンドにしようか」

 第2ラウンド?

 訳の分からないまま、再びうつ伏せになる。

「今度は仰向けになってね」

 先生の台詞にゴロンと転がって上を向く。

 すると、その上に先生が馬乗りになる。

 涼平の視界からは背中が見える。

「今度は涼子くんがやってね」

「は〜い!」

 こちょこちょこちょ……

 涼子が足の裏をくすぐり始める。

「ちょちょ…な…ククククククク…グググググググ……」

 涼平は訴えは声にならない。

 さっきのマッサージのせいだろうか?

 足の裏が敏感になっている。

 ぴくぴくぴくぴく……

 全身が震え始める。

「きゃははははははは……く、くすぐったいよ〜」

 足の裏だけの筈なのに、全身を撫で回されているような感覚。

 体の全部が足の裏になったみたいだ。

「うっ…………」
 
 もう声を出す余裕も無い。
 
 息が苦しい。

 さっきとは別の地獄の苦しみ。

「あ〜、ダメダメ。涼平くん苦しがってるじゃないか。そんなに続けてやっちゃダメだよ」

 先生はそう言って涼子を咎める。

「あの、わたしちょっと……」

 涼子はそう言い残すとトイレに立った。

「やっぱり、僕がやらないとダメかな?押さえてなくても我慢できる?」

 涼平は、コクンとうなずいた。

「じゃあ、行くよ」

 先生はそういって足の裏に指を滑らせた。

 うひゃん!

 体がビクっ飛び上がる。

「うぷぷぷぷぷ…………」

 涼子の時と違って、息が苦しいということはない。

 くすぐりとくすぐりの間が絶妙の間隔だ。

 ツボの位置を変えているのだろうか?

 ひゃうっ!、きゃんっ!、うきゃあ!!

 次々に体の別の部分が感じてくる。

「我慢しなくってもいいだよ。声を出した方が楽だから」

 その言葉と同時に黄色い笑い声を上げる。

「ぎゃはははははははははははは…………」

 涼平自信にも信じられないぐらいに大きな声だ。

 びくっ、びくっ……

 その間にも体は激しく上下に波打っている。

「せんせ〜、今戻りました〜!」

 涼子が戻って来たのは、その時だった。

「何とか間に合ったね。さ、交代だ」

 そういうと先生は、さっきと同じ体制、涼平の股ぐらを眺めるような格好で馬乗りになった。

 先生が手を止めても、まだくすぐったい。

 笑うと体に良いとかいう治療法なのだろうか?

「じゃあ、行きま〜す」

 涼子が足の裏に指を触れると事態は一変した。

 体中を這い回っていた毛虫が股間を目指して集まって来るような感覚に襲われる。

「ちょ…やめ…」

 生温かくて薄黄色い液体が股間からほとばしる。

「やっちゃたね。ズボン濡れちゃってるよ」

 先生に言われて涼平は顔を真っ赤にする。

「まあ、小学生なんだから仕方がないよ」

 先生はそういうと涼平の半ズボンとパンツを脱がせて、タオルで拭いてくれた。

 そして、奥で仕事をしていたらしい事務員のおばさんを呼ぶと、コインランドリ−で洗濯して来てくれるように頼んだ。

「ごめんなさい……」

 涼平はペコリと頭を下げる。

 体には、まだくすぐったさが残っている。

「さてと、治療を続けたいんだけど、そのままって訳にはいかないよね」

 ハッと我に返った涼平は自分が丸出しであることに気が付いた。

 体全体が真っ赤になる。

 こんな格好で、頭を下げていたのだ。

「取り敢えず、これを穿いてね」

 そう言って差し出されたのは、紙オムツだった。

 嫌々ながら涼平は、10年振りぐらいにオムツを身に付けた。

 涼子はクスクスと笑っている。

「足裏治療をやった後には体の毒素が出るからね。おしっこが近くなるんだよ。まだ何回か出るからね」

 涼平が事態を把握したのは、両手両足を診察台に拘束された時だった。

 女の子をヘンな目で見ないわけだ。

 男の子をヘンな目で見る人だったんだ。

 事務員さんがコインランドリ−から帰って来るまでの40分間に、
涼平は足の裏をくすぐられ続け、全身で感じて、何度も何度もオモラシをして、その度に先生にオムツを替えられた。

 全身の水分を出し尽くしたような気がする。

 そして自尊心もスッカリなくなってしまった。

 ゲラゲラと笑い転げながら、オムツを替えて貰っている小学生。

 そんな変態が自分なのだ。

「涼平くん、チッチいっぱい出ちゃったね。これだけ出しておけば今夜は、おトイレに行かなくってもオネショしないよ。
よかったね。さあ、あとひと笑いして終わりにしようか?」
 
 こちょこちょこちょ。
「うっぷぷぷぷ……くっくっくっ……」
 
 そしてフニッシュ。

「あ〜あ、子供だと思ってら、大人みたいなこともできるんだね。エライエライ」

「あ、ありがとうございました」

 頭が、ぼ〜っとしている涼平は思わず、お礼を言ってフラフラと立ち上がった。

「また、おいでね」

「ふわ〜い……」



 涼平が涼子を怖い目で睨めるようになったのは翌朝になってからだった。

「よくも俺を売ってくれたな!お母さんや先生に言い付けてやる!!」

「だから、オカマまでは掘られないように見張っててあげたじゃないの」

 涼子は悪びれずに言った。

 そして、数枚の無料診察券と昨日の醜態を撮影した写真を手渡した。

「クラスの男の子が1人利用する度に謝礼が入るわよ」
 

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