ふたりの間で
大助&友也シリーズ6

2001/4/25UP

(解説)
 夏の話なんだよなこれ。
 多分これで完結です。
 二人のエッセンスは他の子に継がせますが。


 大助は、夏の初めに引っ越して夏の終わりに戻ってきた幼馴染をいきなり、
風呂に連れ込んだ。

「友也、ちょっと大きくなってない?」

「下半身見て言うんじゃない!」

 友也はタオルで下半身を覆う。

「なんだよ、今更見られても恥ずかしいもんじゃないだろ」

「さ、触るなよ。今日は、おばさん達も居るんだぞ」

「分かるもんか、俺、ずっと友也のこと考えてた」

「バレてんだよ。俺達が風呂場でナニやってんのか!」

 ピクッ。

 大助の動きが止まる。

「う、ウソ」

「ウソなもんか、うちのお母さんに相談してたぐらいなんだぞ」

「ど、どうしよう……俺、ホモだって思われてないかな?」

 盛り上がっていた気持ちがドンドンと盛り下がっていく。

 ガラッ。

「やっほ〜、遊びに来たよ〜!」

 大助の押し掛け彼女、日名子だった。

「変態かお前!男が風呂入ってるところに乱入して来るんじゃねえ!!」

 大助は、とっさに湯船に飛び込む。

「水着だから大丈夫よ。大助の好きなスクール水着」

「俺は、中年オヤジか!」

 友也は完全に無視されている。

 ガラッ。

 次に入ってきたのは、友也の年上の従姉妹、月子だった。

「やっぱり、ビキニじゃないと勃たたないわよね」

 大胆とは言い難いがそれなりに魅力のある白いビキニ。

 透けそうで透けないのがポイント。

 友也も湯船に飛び込む。

「月姉ちゃん、出てってよ」

 友也が叫ぶ。

「今更恥ずかしがることないでしょ。あの日はあんなに見せてくれたのに」

「つ、月姉ちゃん!」

 友也が真っ赤になる。

「友也!!この女と何かあったのか?」

 大助が立ち上がって怒鳴る。

「大助、やっぱり大きいんだ」

 ハッとなった大助が再び下半身を湯船に沈める。

「と、取り敢えず、外に出てよ、俺達もすぐにあがるから」

「あら、やっぱり恥ずかしい?パンツ履いていいわよ」

 月子は脱衣場に脱いであった二人のブリーフを湯船に投げ込む。

 水に濡れた下着は、ちょっと透けていて水着よりも恥ずかしい格好だった。


「じゃあ、ちょっと状況を整理しよっか」

 大助の部屋に4人が集まった。

 司会進行役は年長の月子だ。

「まず、友ちゃんと私、大ちゃんと日名子でカップリングが成立してる」

「なんで、そうなるんだよ!俺は友也とカップルなの」

「あんたらは男の子同士でしょ?」

「大体、あんた友也の何なんだよ。只の従姉妹なんだろ?」

「従姉妹だけど婚約者なの」

「友也!!」

 友也はコクンと頷く。

「ご、ごめん大助。大助のことは今でも一番好きだけど、成り行きで……その
…やっちゃって……やっぱ男として……」

「!!!」

「え〜、ズルイよ。あたしは大助とやってないのに」

「馬鹿女、論点をズラすなよ」

「馬鹿とは何よ。馬鹿とは」

 大助と日名子はどっちが馬鹿かと口論を始めた。

「……なんだ大助も彼女と仲いいんじゃないか」

 友也がボソっと言った。

「分かったよ。友也ってそういう奴だったんだな!日名子SEXするぞ」

「大助、あたし嬉しい!」

「ダメよ。私の見てる前でやられたら保護者としての立場が無いわ。あと5年
ぐらい待ちなさい」

「自分は児童福祉法違反してる癖に!」

「1回しかしてないわよ!」

 その後は4人で大口論大会になった。


 友也は重い気持ちでベッドに横になる。

 帰って来たかった街、帰って来たかった部屋、逢いたかった大助。

 でも、大助は恋人なんだろうか?

 分からない。

 恋人と友達の境界線って何処にあるんだ?

 それは中学生に取っては難過ぎる問題だった。

 野上日名子。

 鈍い大助は気が付かなかったかもしれないが友也には分かっていた。

 日名子が大助を好きだってことが。

 もし、大助に女ができるとしたら日名子だろうとは思っていた。

 だからって俺と分かれて1ヶ月も経ってないってのに。

 あんなに仲良くなってるし。

 月姉ちゃん。

 俺の従姉妹。

 嫌いじゃない。

 美人じゃないけど標準よりは上だと思う。

 裸を見るとドキドキする。

 友也は半ば無意識にパジャマをパンツごとズリ下げる。

 刺激するという行為だけで感じている自分に愕然とした。

「俺、何やってんだろ?」

 俺は誰が好きなんだろ?

 
 大助は不愉快な気持ちでベッドの中だった。

 何もかも面白くない。

 やっと逢えたっていうのに女を作ってた友也。

 俺のことが好きだって言った癖に。

 友也が相手ならホモって呼ばれても気にしない。

 小さい頃から一緒だった幼馴染。

 幼馴染?

 もしかしたら俺は友也を好きだって思い込んでるだけなのか?

 そんなことを考える自分も面白くない。

 月子。

 友也の従姉妹。

 そして友也の童貞を奪った女。

 俺が貰いたかった。

 処女ぐらいやったのに。

 何考えてんだ俺?

 日名子。

 俺の何なんだ?

 勝手に恋人だって宣言してズカズカとその座に収まった女。

 母ちゃんは歓迎してるらしい。

 街でクラスの連中に逢う度に冷やかされる。

 完全に既成事実にされてしまった。

 大嫌い……なんだろうか?

 俺、誰かに引っ張ってられてないとダメなのかもしれない。

 そんなに嫌いじゃない。

 でも好きじゃない。

 風呂場で月子が着てた白いビキニ、日名子が着ても似合うかもしれない。

 友也なら?

 ダメ。

 どうやっても友也は男だ。

 でも俺は?

 俺も男だ。

 俺は一体、どうすればいいんだろ?


 朝が来た。

 二人の悩める男の子は、それぞれに目を覚ました。

 二人共、コッソリとパンツを洗濯機に放り込もうとして母親に怒られた。

 どんな夢を見たのか覚えていなかった。

 ただ、起きたら股間が温かかったのだ。


「あのさ、俺……やっぱり大助が居ないとダメなんだよ。好きなんだ。でも、
ちょっと違う意味で月姉ちゃんも好きなんだ。……ズルイかな?こんなの」

「ううん。俺もさ、友也じゃないとダメなんだ。友也だから好きなんだ。友也
と違って俺は日名子を好きなのかどうかなんて分からないでも嫌いじゃないと
思うんだ」


 未来がどうなるかは分からない。

 でも、これまでの二人は仲良しだったし、今も仲良しだ。

 恋人と友達の違いが分かるまでじゃれあってみるのもいいかもしれない。

 二人はそんなことを考えていた。
 

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