希美ネエと僕

1999/6/21UP

(解説)
結構、お気に入りの品。
しかし、これもショタかと問われればそうじゃないかもしれない。


 希美ネエは僕の従姉で6つも年上で隣の家に住んでいる。

 いや正確には同じ家かもしれない。元々同じ家だったのをおじいちゃんが
死んだ時に、ふたつに分けて住むようにしたんだって。

 だから僕の部屋と希美ネエの部屋へはドアを開けるだけで行き来できる。

 希美ネエは勝手に入ってくるけど、僕の方から入ることはできない。

 そんなことをしたら恐ろしい目に逢わされる。
 2年前、僕が4年生だった頃に希美ネエの部屋に入ったことがある。

 風邪を引いて寝こんでいた希美ネエのことが心配だったんだ。

 すーすーと寝息をたてているその顔は女神さまみたいに綺麗だった。

 僕の気配で目を覚ました希美ネエは、出て行けと怒鳴った。

 さっきまでとはエライ違いだ。

 次の日、部屋に乱入してきた希美ネエは僕におしおきをして帰った。

 僕を押さえ付けてパンツを脱がせるとおちんちんにマジックで黒々とした
毛を書き込んでいったんだ。

 僕は泣きながらお風呂場でその落書きをゴシゴシと擦った。

 油性マジックで書かれた毛は、なかなか消えなかった。

 その時はまだ白い液は出なかったけれどオナニーの気持ちよさを知ったのは
その時からだった。

 もっとも僕がオナニーって言葉を知ったのは今年になってから希美ネエが
教えてくれたからなんだけど。

 2年前の希美ネエも怒っていたけれど今も怒っている。

 希美ネエがタバコを吸っていることを僕がチクったと思っているからだ。

 でもそれは誤解だ。

 希美ネエが空き缶を忘れていったのが悪いんだ。

 匂いが付くと嫌だからって希美ネエは自分の部屋ではタバコを吸わない。

 僕の部屋に空き缶を持ち込んで吸っている。

 まだ18なんだからと言うと、妊娠したらやめるからと言い返された。

 僕が部屋に居れば忘れていった空き缶だって処分できたんだけどいない間に
勝手に吸っていって忘れて帰った空き缶まで責任を持てない。

 間が悪く、お母さんが掃除しに入って来たのも僕のせいじゃないない。

 でも悪いのはやっぱり僕らしい。

 2年前に毛を書いたからって、今度はせっかく生えてきた毛をキレイに
剃られてしまった。

 なんかパンツの中がチクチクして痛い。

 僕と希美ネエは、ずっと一緒に居たしこれからもずっと一緒にいるんだって
思ってた。

 僕たちは、姉弟よりずっと中のいいイトコだったし一緒にいられない理由
なんて何もないって思ってた。

 でも、その日は突然にやってきた。

 希美ネエのお父さんの浮気がばれて離婚することになったんだ。

 そして希美ネエは伯母さんについていくことになった。

 伯父さんも女の人のところへ行ったんだって。

 希美ネエの家は誰も住まなくなった。

 それじゃ勿体無いからって全然知らない人が住むことになった。

 唯一、繋がっていた僕の部屋と希美ネエの部屋の間のドアは壁になった。

 僕はその壁を見詰めて泣いた。

 僕がもっと大人だったら希美ネエを行かせたりしなかったのに。

 その時、僕は初めて早く大人になりたいと思った。

 大人が子供の頃に戻りたいなんてきっとウソだ。

 子供なんて、ちっともいいことなんてない。

 希美ネエの苗字が変ってしまうのを黙って見ていることしかできなかった。

 好きだったんだ。

 小さい頃からずっと。

 5歳の時に河原に生えていた花を差し出してプロポーズしたあの日から。


 俺は、自分が書いた日記帳を読み返して苦笑した。

 1日しか書いていない日記帳。

 あれから6年。
 希美ネエは俺のすぐ近くにいる。

 日記帳を渡したから何分かすれば笑い出すだろう。

 希美ネエはタバコを吸うのをやめた。

 今の俺は希美ネエの苗字を元に戻してあげることができるようになった。

 もう、行かせたりしない。

-終-

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