<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.0 Transitional//EN">
<HTML>
<HEAD>
<TITLE>怪談</TITLE>
<META name="GENERATOR" content="IBM HomePage Builder 2001 V5.0.2 for Windows">
</HEAD>
<BODY>
<CENTER>
<TABLE>
  
    <tr>
      <td>
      <P><FONT size="+1"><B><FONT size="+2">『<FONT size="+2">鳴る携帯電話</FONT></FONT><FONT size="+2">』</FONT></B></FONT>
      </P>
      <HR>
      <FONT size="+1"><BR>
      　Ａ子（仮名）が奇妙なことをしているのに私が気が付いたのはもう１年も前のことです。<BR>
      　<BR>
      　いつも２台の携帯電話を持ち歩いているのです。<BR>
      　<BR>
      　相手によって２つの番号を使い分けているのかと思いましたが、人に教える番号はいつも同じです。<BR>
      　<BR>
      　私が、そんなことに気が付いたのは片方の携帯は新しい機種だし、可愛いストラップやシールで<BR>
      飾られているのに、もう一台の携帯は、大きな古い機種で薄汚れたままなのです。<BR>
      <BR>
      　<BR>
      　ある日、私は思いきってＡ子に何故、使いもしない携帯を持ち歩いているのか聞いてみました。<BR>
      　<BR>
      　きっと、彼からもらったとか何かの理由で御守りにしているんだとかそういう答えが返って来ることを<BR>
      期待していたのですが、恐ろしい答えが返って来たのです。<BR>
      <BR>
      「２つ持ってないと死んだ彼が電話してくるの」<BR>
      <BR>
      　不謹慎にも私は大笑いしてしまいました。<BR>
      <BR>
      　死者が電話を掛けてくるなんて、とても本当の話だとは思えなかったし冗談だと思ったのです。<BR>
      <BR>
      　きっと、その死んだ彼とやらにプレゼントされた物に違いない。<BR>
      <BR>
      　いや、別れた彼から電話が掛かってくるかもしれないと思って以前の携帯をずっと持ってるだけなんだ。<BR>
      <BR>
      　そんな感傷だけで使いもしない携帯の料金を払い続けるなんて馬鹿らしい。<BR>
      <BR>
      　私はＡ子がトイレに立った隙に、Ａ子のバッグから新しい方の携帯を自分のポケットに押し込みました。<BR>
      <BR>
      　ちょっとした悪戯のつもりでした。<BR>
      <BR>
      　新しい方を選んだのはもし本当に死んだ彼からもらったものだとしたら、少し気味が悪かったのです。<BR>
      　<BR>
      　どうせ滅多に掛かってくることなんか無いし、別れ際にでも脅かしてやろうという軽い気持ちでした。<BR>
      <BR>
      　ルルルル……<BR>
      <BR>
      　タイミング良く携帯が鳴りました。<BR>
      <BR>
      　古い方の携帯の。<BR>
      <BR>
      　私は、Ａ子のバッグの中を覗き込んでビックリしました。<BR>
      <BR>
      　何とバッテリーが付いていなかったのです。<BR>
      <BR>
      　流石に、電話に出る勇気はありませんでした。<BR>
      <BR>
      　慌てて、ポケットの中の携帯を元に戻したことは言うまでもありません。<BR>
      　<BR>
      　トイレから戻ってきたＡ子に、それとなく切り出して話を聞き出すと、死んだ彼からの電話は新しい方の<BR>
      携帯に掛かってくるとのことでした。<BR>
      <BR>
      　発信番号非通知の無言電話ですが、Ａ子には死んだ彼からの電話だということが分かるんだそうです。<BR>
      <BR>
      「古い電話に掛かってくることはないの？」<BR>
      <BR>
      「あるワケないじゃない。バッテリーも付いてないのよ」<BR>
      <BR>
      　私は、さっきの体験をA子に話すことはできませんでした。<BR>
      　<BR>
      　これは後日談なのですが、A子が死んだ彼からだと思っていた電話はB男による悪戯だと分かりました。<BR>
      <BR>
      　そもそも死んだ彼などというのもA子の思い込みでただの高校の先輩で親切にしてくれたことがあるのを<BR>
      勝手に勘違いしていたようなのです。<BR>
      <BR>
      　しかも、その人は死んでなんかいませんでした。<BR>
      <BR>
      　ありふれた名前なので同性同名の人がバイクで死んだ新聞記事を読んで死んだと思い込んでいただけ<BR>
      だったのです。<BR>
      <BR>
      　２つの電話を持ち歩いている時にも悪戯電話は掛けたことがあるらしいので要は彼女の思い込みだった<BR>
      のです。<BR>
      <BR>
      『死んだ彼からの電話』は、１から１００まで空想好きな女の子の頭の中だけの存在でしかなかったのです。<BR>
      <BR>
      　では私の聞いた音は何だったのでしょうか？<BR>
      　<BR>
      　もうひとつ、関係がないかもしれないのですが私自身の携帯電話にもおかしなことが起こっています。<BR>
      　<BR>
      　時々、入れた覚えの無い着メロが鳴るのです。<BR>
      　<BR>
      　その不気味な音が鳴っている番号非通知の電話を取ることは私にはできそうにありません。<BR>
      <BR>
      </FONT>
      </tr>
  
</table>
</CENTER>
<P align="center"><A href="e00.htm">‖RETURN‖o(^･･^=)〜戻るにゃあ</A></P>
</BODY>

</HTML>

