『マルチ商法じゃないのなら大丈夫ですね』

 ちょっと解説文を書こうと思ったのですが、どうしても語句の説明ばかりが
増えて、説得力の無い何処か他人事のような文章になってしまうので、
小説にしてみました。
 それでも説明調なんですけど。
 登場する人物は全てフィクションですが、笑ってる人程危ないかもしれないです。


 
 私の正体は、只のおっさんだ。

 電車に乗れば同じような人間がギュウギュウと詰まっている。
 
 ちょっと違う点を挙げるとするれば社内でちょっとパソコンに詳しいという
理由だけで残業を申し渡されたり、個人持ちのソフトのコピーを余儀なくされ
たり、個人持ちのノートパソコンやらデジカメを持ち込む破目になって困って
いることぐらいだろうか?
 
 何故か、こういう業務は『業者に頼むと高いが君なら無料だ』という上司の
セコイ考えの元に一人か二人の社員に集中することになっているらしい。
 
 その癖、『ナンでもいいからパソコンを教えて』と無茶なことを要求する。
 
 最近はIT革命とかいう言葉のお陰で、こういう輩が増えたが、ローマ字の
説明からするのはもう嫌だ。
 
 私だって、ただの素人であって別に情報処理の免許を持ってるワケじゃない
のだ。
 シスアドは取ろうかと思ったが、却って社内での負担が増えるので取らない
ことにした。(その前に人事はシスアドが何か知らないらしい)
 
 私の本名はあまり知られていないが『G』というハンドルネームは少々知ら
れている。
 
 趣味で1日に1000ヒット程度のホームページを開設しているからだ。
 
 そのジャンルに関して、とても詳しいことになっているらしいのだが、実を
言うと興味があったので一般人より多少の知識を持っているに過ぎない。
 
 元々の知識の多くは、長年に読み溜めた書籍から得たものであり、そういう
本を100冊も読めば誰でも同等の知識は得られる。
 
 HPを開設した後で格好をつける為に大慌てでネット上から情報を集めたりもした。
 
 ぶっちゃけた話、私の名前が知られているのは単に開設の時期が早かった為
ライバルを出し抜いたからに過ぎないのだ。
 
 先行逃げ切りって奴である。
 
 専門は『マルチ商法』や『ネスミ講』。
 
 日本では社会現象を巻き起こした第一相互経済研究所、別名「天下一家の会」
が有名である。
 
 会長の内村健一氏はある意味で有能な人物だったらしく、他の同様システム
が次々に破綻していく中で組織を発展させ、数学的には崩壊する理論を一時的
とはいえ強引に成功させた。
 
 これが日本におけるネズミ講の元祖ではなく、「頼母子講」なんかは一説には
室町時代から存在したと言われ(未だに新宿の店などでは持ちかけるホステス
がいるらしい)システムとしてもオリジナルというワケではない。
 
 だが、日本人の意識に根付いたネズミ講やマルチ商法の原イメージの基本は
これなのである。
 
 MLM(マルチ・レベル・マーケティング)というのは、ネスミ講の金銭を
消費財に置きかえることにより数学的な破綻を防ぐように工夫された商業形態
であり、学術上は破綻しないし、多くの場合、法律にも触れない。
 
 マスコミ区分では法に触れない場合を『マルチまがい』と呼称するらしいの
だが、基準がハッキリしない。
 
 個人的感想では、『○○に効く』とか言って『薬事法違反』に問われた場合に
多用されているような気がする。

 マルチ=悪。
 マルチまがい=法の目を掻い潜ったマルチ
 
 とでもいう感じなのであろうか?
 
 なんか実態のない『バールのようなもの』を連想させる。
 
 合法だろうが非合法だろうが全ての人間が成功するワケでは有り得ない。
 
 言ってみれば、企業が流通、宣伝、販売のコストを消費者に肩代わりさせた
システムなのだ。
 
 化粧品や健康食品が扱われることが多いが、中にはベッドや電話機といった
耐久消費財という最初から破綻しそうな物もある。
 
 私の調査によると、大抵の人は『会員になれば通常より安く買える』という
理由で入会している。
 
 ただ、問題は学術上は破綻しなくても運営しているのは人間だということで
あり、計算通りに勧誘が進んで物が売れるぐらいなら、潰れるデパートなんか
この世の中に無いだろうということなのである。
 
 まず、誤解されている点は『元が取れる』のは計算上数%に過ぎないという
こと。(単価が低い場合は高くなるが高い商品を買ってしまうので同じになる)
 
 ピラミッド型の組織が構成されるシステムではどうやってもそうなるのだが、
どうも自分がピラミッドの下の方に位置する可能性は無視されるようだ。

 この心理は、絶対に外さないと確信して馬券を買う人と似ている。

 如何に合法的な組織を作ろうとも規律を正して不心得物を処罰しようとも、
この問題は基本的に解消されない。

 ロクにセールスしないでも売れるような商品なら別にMLMで売らなくても
売れる。

 売れる商材をMLMにしてしまったが為に崩壊した組織もあるぐらいだ。

 多分、MLMで成功できるような人間は普通のセールスマンになっても成功
できる。

 だが、困ったことに世間では、『違法な組織がやっていないのなら儲かる』と
錯覚する人が多いようなのである。

 それで先日から困っている。

 メールで『○○という会社はマルチ商法じゃないと勧誘されているのですが
大丈夫でしょうか?』という質問を受けた。

 マルチ商法じゃないと言い張るのはこの手の会社の特徴のひとつだ。

 連鎖販売取引の規定に当て嵌まらないのならマルチ商法ではないといえる。

 だが、それは別に法律に保護されているから大丈夫という意味ではないので
ある。

「連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法ではありませんが、基本的なシステムは
同じです」
 と返信したら、その人は安心して入会してしまったらしい。

 困った御仁である。

 どうもそれを持って、専門家が太鼓判を押したと考えたようなのである。

 私はいつから専門家になったんだ?

 HPにだって、専門家じゃないと明記してあるっていうのに。

 どうも、こういう輩はこういう困ったことを無邪気にやってくれるので困る。

 以前にも、『違法ではない可能性もないわけではない』と婉曲に書いたら、
『合法だと認めた』とか『儲かることが実証された』と言われてしまったこと
がある。

 私は単に裁判が継続中だったから誤魔化しただけだったのに。

 どこをどう解釈すれば『儲かることが実証された』というのであろうか?
 
 最後に白状しよう。

 私が何故、マルチ商法に詳しいのかと言えばかつて実践していたからである。

 いや、中核メンバーだったらとっくに逮捕されているだろうが、私は当時、
広告や流通を研究している大学院生で先輩の紹介でパンフレットなんかをそれ
こそ数十社分も製作した。(実態は1社)

 名前が表に全く出なかったことが幸いして逮捕されるには至らなかったが、
私には1円の分け前も与えられず、打ち合わせの度のコーヒー代ぐらいしか、
利益が無かったと言えば如何に彼等が儲からなかったか分かるであろう。
 

(補足)
 簡単に分かる怪しい業者の見分け方。
 
 HPが無料HPに設置されている。
 金がある癖になんで?

 これで最後とかいうスパムを何度も送ってくる。
 名簿管理も出来ないらしい。

 悪徳商法マニアックスさんとこの悪徳サーチで調べるとヒットする。
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