■ 大豊ラーメン
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大豊ラーメン 〜焼豚ひとすじ〜


大豊ラーメン外観
器のへりに、花びらのようにチャーシューを一周させた有様が、誌上の写真でもかなりインパクトのある大豊ラーメン。先斗町と木屋町の中間の、細い細い路地の中にあるこの店は、ラーメン屋なのに「黒豚チャーシュー専門店」といううたい文句を掲げている。いかにも焼豚には自信ありげな風が頼もしいが、これはわたしの経験上、焼豚のうまい店はラーメン自体にもはずれが少ない、という法則から来る期待感でもある。午後6時から深夜までの営業とあって、昼間に挑戦できないのは残念だが、土地がら、やはり夜でなければ相応の売上げも見込めないのであろう。

開店が6時となっているので、わたしはきっかりに店へ行った。腹が減りすぎていて、もう待ちきれない状態である。ところが、「まだです」とにべもなく断られてしまい、仕方なく30分ほどあたりをうろつく羽目になった。この日は一人で準備をしていたようだし、こういった小さな店舗の場合は、接客や時間がルーズになることも往々にしてあることには違いない。わたしもサービス業にしばらく従事していた手前、開店と同時に客が入るとけっこう腹が立つことも知っているし、同情できる気持ちも少なからず持ち合わせてはいるつもりだ。しかし、まったく悪びれる様子もない、というか、開き直った態度はおかしい。こちらはあくまで客である。わざわざ遠くから、脚と金とを運んできた客である。いくら準備が間に合わないからと言ったって、開店時間丁度に顔を出せば喜ばれこそすれ(たとえ表面上だけでも)、不本意げな顔をされる謂われはない。断るなら断るで、「すいません」の一言くらい添えるのは、サービス業うんぬんの以前に、ひとりの人間として絶対必要なことだろう。サラリーマンではないから遅刻が許される、などという理 屈は通らない。いやむしろ、全責任がその肩にかかってくるからこそ、自営業、特に、サービス業の人間は信頼をすり減らしてはならないのではなかったか。
当然、このことについては、容赦なく星勘定に反映させるつもりである。が、これはひとえに、対象を大豊ラーメンに限った意見ではない。臨時休業の多いすべての店、開店が遅れるすべての店に対して物申しているつもりである。学生やサラリーマンにとって、無断遅刻や無断欠勤がどれだけ大きなペナルティを課される問題であるか、そのあたりをよくよく考えてみるがいい。

ラーメンの評価に移ろう。もちろん、チャーシューメンである。
第一印象は、写真で見たよりだいぶ焼豚が薄い、ということ。とてもとても、わたしが持っている雑誌に載っているラーメンと同じ代物とは思えない。たしかに器べりにたくさん並べられた肉は豪快だが、ぺらぺら、と表現するのが適切だと思われるほど一枚一枚がうすいのだ。しかし、味の方はさすが「専門店」。脂がしつこくなく、かえって旨味となって口の中へ充満してくるあたり、肉へのこだわりは相当なものと看た。たっぷりネギも有り難い。これで麺もスープもうまければ、間違いなく風流店である。

究極のラーメン屋に出くわすのは、50億もの人間の中から生涯の伴侶を見つけだすより困難な業である――これはわたしが今勝手につくった言葉だが、それほどまでに、うまいラーメン屋一軒探すのには大変な労力がいる。無念、大豊ラーメンも、焼豚だけなら誰しも舌鼓を打つくらいのレベルであるのに、それに濃い系醤油のスープが一歩も二歩も遅れをとっている観がある。かなり濃いスープなので、麺はある程度ごまかしがきくとしても、そのスープ自体が今ひとつなのだからいかんともし難い。「ダシそっちのけの濃いだけスープ」とでも名づけようか。一乗寺天天有(ごみ箱参照)の「ダシの良さ見えぬ薄いだけスープ」とは悪い意味で好対照である。もっとも、食えないほどの後者とは違って、大豊ラーメンの方はうまくもまずくもない、といった程度なのが救いではある。

★★★★★★
ボリューム
★★★★★★★
雰囲気
★★★★★
サービス
★★★★
料金
★★★★★★
総合
28点
交通
★★★★★★★★★★
管理人
利用率
★★
わたしはいつも焼豚と麺とを分けて食べるので、これは食後に思いついたことであるが、この店のラーメンを存分に味わうには、うまい焼豚とそれほどでもない麺・スープを、同時に口の中へ放り込むという手が良いかも知れない。肉の旨味で、ラーメン全体を包んでしまうのだ。・・・・・・もしこの食べ方が本筋だとすると、スープをあえて単調につくっているのは、実は焼豚の旨味を引き立たせるためとも推測できるが、さすがに考えすぎだろう。
雰囲気は普通。ラーメン屋にそれを求めること自体、間違いかもしれないが、木屋町で夜のみ営業の中華屋となれば、酔っぱらいやいかがわしいメンツも相当来るだろうという懸念から。
値段は高い。チャーシューメンが850円。ここへ行ってチャーシュー以外のラーメンを注文するのは野暮と言うものだから、当然これが基本の値となる。わたしの感覚ではキワを片足超えてしまっているのだが、焼豚のうまさで十分埋め合わせはできている。もちろん、もう少し安くなってもいいだろう。

○追加情報1
左の表にあった「料理」のカテゴリを、「味」と「ボリューム」に分けました。文章はもとのままですので、内容にすこし食い違いが出てくるかも知れません。[10/Nov/99]
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