
ガトー・ド・ビガロ外観 |
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国内有数の景勝地――嵐山には、残念ながらうまいものを食わせる店がそれほど多くない。
往時の隆盛(?)は今や見る影もないが、かつてこの地でタレントショップが大いに幅をきかせていた一事をとっても、それはうかがい知られるというものである。もちろん、財布の中身に余裕があれば、竹林を背にした美しい庭をのぞみながら、かざり気のない離れ家でしずかに湯豆腐をつつきあう――そんな仙境に遊ぶような心地にもひたれないことはない。しかし、わたしのような貧乏人が、幾枚の(=なけなしの)千円札を片手に
「ワビサビください!」と言ってみたところで、どだい無理な話であろう。悲しいことに、貧乏人には貧乏人にふさわしい選択しか残されていないのだ。
しかし、初めにこんなことを言ったからといって、なにも暗くなることはない。世の中最後は
チエである。頭をつかった者が勝利するようにできているのだ、世の中というものは。だから、たかが一度の昼食ですら、気品もなく、節操もない店でまずいものを食い、余計な金を落としていくような愚は避けるべきなのである。
わたしに言わせれば、嵐山という地は、千円札一枚しかもっていなくても十分に満喫できる場所なのだ。大堰川のほとりに語り合い、腹がへればたらふく昼めしを食い、嵯峨野めぐりに疲れた帰りには、うまい和菓子やケーキを土産にもって帰る――これで千円。想像できようか?それを成すも成さぬも、すべては頭の使い様なのである。

カフェ・ガトー |
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・・・・・・ところで、土産は何にしようか?
和菓子ならば「老松」のさくら餅(春のみ)。ケーキならばガトー・ド・ビガロの「カフェ・ガトー(350円)」で決まりだ(写真右)。
コーヒー系の菓子が好きな人の中には、カフェケーキそのものをつくっている店が世の中にそれほど多くなく、稀に置いてあったとしても、買って帰ってみると期待していたほどの味ではなかったという経験をもっている人が少なくないだろう。わたしもかつてはその例に漏れなかった。
だが、ここのカフェ・ガトーを知ってからは別である。ショーケースを覗くと、居並ぶ他のケーキたちに比べて、色と言い形と言い、ひときわ地味なケーキがある。てっぺんに「cafe」の文字が見えるが、デコレーションが面倒なので仕方なしに書いたといった、いかにも淋しげな風情である。しかし、そのためにかえって
不気味な存在感をかもし出すこのケーキこそ、わたしが絶賛したいカフェ・ガトーサマなのだ。それはあたかも、自分を買ってくれるひとにぎりの「通」の客が現れるのを、虎視眈々と狙っているという雰囲気なのである。
見た目こそうだつの上がらない様子だが、実際に食してみると、頭にのったカフェクリームが、甘すぎず、苦すぎず、珈琲の風味が底辺からじわッと沸きあがってくるような奥深さがある。
飾らないこだわりとでも言うべきものがはっきりと内在しているのだ。どこかのウィスキーのコピーに、「なにも足さない、なにも引かない」という文句があったが、あれがまさにピタリと当てはまる作品なのである。このクリームの絶妙なうまさに加え、きわめつけはスポンジケーキの口当たりの良さ。
「ポサポサ」と表現する以外に適切な言葉が見つからないけれども、それが不思議と心地よい歯ごたえを誘う。一歩まちがえばコンビニに並んでいる洋菓子になってしまいそうなのに、ギリギリの線で品格を失っておらず、かえって新鮮な食感を楽しませる効果を添えているのである。
豪華な飾りすらもつけてもらえず、店の人間にさえ見捨てられてしまった(?)このカフェ・ガトーは、まさに
ケーキ界のアウトロー的存在である。見せかけだけの美しさであちこちに店舗を増やし続けているようなケーキ屋も世に多い中で、見かけは悪いが、外見からはとうてい推し量れない深さと気品を内に秘めたまま、一向に驕らない
すごいヤツもいるのだ。また、年端もいかない修学旅行生を釣るために、店構えからなにからいかにも「古都」を気取って、そのくせ肝心の料理の味は後回しにするような、嵐山に多い無節操な店から出てくるメニューと比べてみると、カフェ・ガトーのすごさがいっそう際だって見えることだろう。そうだ、なにげない姿の奥からあふれ出る気品――それこそは、渡月橋からのぞむ、あの嵐山の情景を彷彿とさせずにはおかないではないか!
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味
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★★★★★★★
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ボリューム
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★★★★★★
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雰囲気
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★★★★
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サービス
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★★★★★★
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料金
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★★★★★★★★★★
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総合
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31点
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交通
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★★★★★★
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管理人
利用率
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★★
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評価についても触れておこう。
今回はカフェ・ガトー(文句なしの10点!)ばかりを紹介したが、雑誌に掲載された、他のいくつかのケーキは驚くほどの味でもなかったので、すこしさし引いて8点に留めた。
サービス。初めはケースに並んでいなかったカフェ・ガトーを、「出して!」と言ったらすぐに快く出してきてくれたフレンドリーさは評価。まだまだ知名度が低いせいか、流行ってはいるのに並ぶようなことがないのもよい。しかし、いつ行っても店の人間が客の来店になかなか気づいてくれないのは大きなマイナスだ。いったいなんど大声で呼んだら出てきてくれるのか・・・・・・。
値段は安い。300円代からのケーキはじゅうぶん評価していいだろう。アクセスは乗り換えがあるものの、河原町からなら阪急電車が使えて便利だ。最後に雰囲気について――ガレージに椅子とテーブルを並べただけのような場所でのティータイムは、はっきり言って無理がある。あたりはごくごくフツーの住宅街だから仕方ないが、近所の子供たちのわめき声や犬の鳴き声なども耳にさわる。これではせっかくのうまい菓子も台無しである。どうやらここのケーキは、土産にするのが一番のようだ。
〜さらに上級の「通」を楽しみたい方へ〜
あらかじめコンビニ等でプラスチック製のフォークを買っておこう。たこ焼や焼そばをつつきあっているカップルが多い川べりで、風光明媚な景色をさかなに缶入り紅茶とカフェ・ガトー・・・・・・これができれば本物だ。
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○追加情報1
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左の表にあった「料理」のカテゴリを、「味」と「ボリューム」に分けました。文章はもとのままですので、内容にすこし食い違いが出てくるかも知れません。[10/Nov/99]
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○追加情報2
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河原町OPA1Fに同店のショーケース発見![08/Feb/2000]
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○追加情報3
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なんとカフェ・ガトーはもう、メニューから消えてしまったとのこと。評価を下降修正しないと……(あきさん)[09/Oct/2000]
→味-1
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